礼記 / 檀弓上
有殯,聞遠兄弟之喪,雖緦必往;非兄弟,雖鄰不往。所識其兄弟不同居者皆吊。 天子之棺四重;水兕革棺被之,其厚三寸,杝棺一,梓棺二,四者皆周。棺束縮二衡三,衽每束一。柏椁以端長六尺。
新字:有殯,聞遠兄弟之喪,雖緦必往;非兄弟,雖鄰不往。所識其兄弟不同居者皆吊。 天子之棺四重;水兕革棺被之,其厚三寸,杝棺一,梓棺二,四者皆周。棺束縮二衡三,衽毎束一。柏椁以端長六尺。
書き下し
殯有るに、遠き兄弟の喪を聞けば、緦(し)なりと雖も必ず往く。兄弟に非ざれば、隣なりと雖も往かず。識る所の其の兄弟の同居せざる者には皆弔す。 天子の棺は四重。水兕(すいじ)の革棺これを被(おお)い、其の厚さ三寸、杝(い)棺一、梓(し)棺二、四者皆周(めぐ)る。棺束は縮(たて)二つ衡(よこ)三つ、衽(じん)は束ごとに一つ。伯椁(はくかく)は端を以てし長さ六尺。
現代語訳
家にまだ殯(葬る前の柩)があるときに、遠縁の兄弟の喪を聞いたなら、たとえ緦(し、最も軽い三か月の喪服)の間柄であっても必ず弔いに行く。兄弟でなければ、たとえ隣家であっても行かない。知り合いの、別に暮らす兄弟が亡くなったときには、みな弔問する。 天子の棺は四重である。水牛と兕(じ、野牛の一種)の革で作った棺がいちばん内側で遺体を覆い、その厚さは三寸。その外に杝(い、しなの木の類)の棺が一つ、梓(あずさ)の棺が二つあり、四つがすべて互いを囲む。棺を束ねる革紐は縦に二本、横に三本で、衽(じん、蓋と身をつなぐ蝶形の木栓)は束ごとに一つ。柏(かしわ)の木で作った椁(かく、外箱)は、木の根本の端を用いて組み、長さは六尺である。
解説
弔問に行く範囲と、天子の棺の構造を記した段である。自家に殯がある身でも、遠縁の兄弟の訃報には軽い服の間柄であっても駆けつけ、血縁のない者の喪には隣家でも行かないという。喪中の者はみだりに外出しないのが原則だが、骨肉のつながりはそれに優先するとしたのである。礼が親疎の順を何より重んじることがよくわかる。後半の天子の棺は四重で、内から革の棺、杝の棺、梓の棺二つと重ね、紐と木栓で固く締める。鄭玄は、水牛と兕牛の革を棺とし、それぞれ厚さ三寸と注する。最上位の人の遺体を何重にも守るこの構造は、身分の尊さを示すと同時に、亡骸をできるだけ長く損なわずに保ちたいという願いの表れでもある。前段で見たように簡素な葬りを尊ぶ考えもあり、礼は身分に応じて厚薄を分けるのである。誰の弔いに行き、誰の弔いには行かないか。親戚づきあいの範囲に迷うとき、近さに応じて心を配るという物差しは今でも使える。
この章句が説くこと
礼記弔問親疎棺天子
関連する章句
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礼記・檀弓上天子の諸侯を哭するや、爵弁(しゃくべん)絰(てつ)緇衣(しい)す。或いは曰く、有司をしてこれを哭せしめ、これが為に楽を以て食せず、と。 天子の殯や、菆塗(そうと)して龍輴(りょうしゅん)するに槨(かく)を以てし、斧を椁の上に加え、畢(ことごと)く屋に塗る、天子の礼なり。 唯だ天子の喪にのみ、姓を別ちて哭すること有り。 魯の哀公孔丘を誄(るい)して曰く、「天耆老(きろう)を遺さず、予(われ)を位に相(たす)くる莫し。嗚呼(ああ)哀しいかな、尼父(じほ)」と。
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礼記・檀弓上県子瑣(けんしさ)曰く、「吾これを聞く、古は降さず、上下各其の親を以てす。滕伯文(とうはくぶん)は孟虎の為に斉衰す、其の叔父なればなり。孟皮の為に斉衰す、其の叔父なればなり」と。 后木(こうぼく)曰く、「喪は、吾諸を県子に聞けり、曰く、夫れ喪は、深く長く思わざるべからざるなり。棺を買うには外内易(おさ)めよ。我死せば則ち亦然せよ」と。
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礼記・檀弓上喪服に、兄弟の子は猶子(ゆうし)のごときは、蓋し引きてこれを進むるなり。嫂叔(そうしゅく)の服無きは、蓋し推してこれを遠ざくるなり。姑(こ)・姊妹(しまい)の薄きは、蓋し我より受けてこれを厚くする者有ればなり。 喪有る者の側に食すれば、未だ嘗て飽かざるなり。 曾子客と門の側に立つ。其の徒趨りて出ず。曾子曰く、「爾将に何くにか之(ゆ)かんとする」と。曰く、「吾が父死す。将に出でて巷に哭せんとす」と。曰く、「反りて爾が次(やど)に哭せよ」と。曾子北面してこれを弔う。
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礼記・檀弓上婦人は葛帯(かったい)せず。 薦新(せんしん)有れば、朔奠(さくてん)の如くす。 既に葬れば、各(おのおの)其の服を以て除く。 池(ち)は重溜(ちょうりゅう)に視(なぞら)う。 君位に即(つ)きて椑(へき)を為(つく)り、歳ごとに一たびこれを漆(うるし)ぬり、蔵(おさ)む。 復(ふく)、楔歯(せっし)、綴足(ていそく)、飯(はん)、設飾、帷堂(いどう)並びに作(おこ)る。 父兄赴(ふ)する者に命ず。君は小寝・大寝、小祖・大祖、庫門・四郊に復す。
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