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礼記 / 曲礼下

侍於君子,不顧望而對,非禮也。 君子行禮,不求變俗。祭祀之禮,居喪之服,哭泣之位,皆如其國之故,謹脩其法而審行之。去國三世,爵祿有列於朝,出入有詔於國;若兄弟宗族猶存,則反告於宗後。去國三世,爵祿無列於朝,出入無詔於國。唯興之日,從新國之法。

新字:侍於君子,不顧望而対,非礼也。 君子行礼,不求変俗。祭祀之礼,居喪之服,哭泣之位,皆如其国之故,謹脩其法而審行之。去国三世,爵禄有列於朝,出入有詔於国;若兄弟宗族猶存,則反告於宗後。去国三世,爵禄無列於朝,出入無詔於国。唯興之日,従新国之法。

書き下し

君子に侍するに、顧望せずして対うるは、礼に非ざるなり。 君子は礼を行うに、俗を変ずるを求めず。祭祀の礼、居喪の服、哭泣の位、皆其の国の故の如くし、謹んで其の法を脩めて審らかにこれを行う。国を去ること三世、爵禄朝に列有り、出入国に詔(つ)ぐること有り、若し兄弟宗族猶お存すれば、則ち反りて宗後に告ぐ。国を去ること三世、爵禄朝に列無く、出入国に詔ぐること無ければ、唯だ興るの日、新国の法に従う。

現代語訳

君子のそばに侍っていて、問われたときに周りの人を見回して譲る様子も見せずにすぐ答えるのは、礼ではない。 君子が礼を行うときは、その土地の習俗を変えようとはしない。祭祀の礼、喪に服するときの服装、哭礼のときの立ち位置は、すべて先祖の国のしきたりのとおりにし、謹んでその定めを修め、つまびらかに実行する。他国に移り住んで三代を経ても、なお本国の朝廷に爵位や俸禄の籍があり、出入りのたびに本国に知らせているのであれば、兄弟や一族がまだ本国に残っている限り、冠婚などの事があるときは本国に戻って宗家の跡継ぎに告げる。他国に移り住んで三代を経て、本国の朝廷にもう爵位や俸禄の籍がなく、出入りを本国に知らせることもなくなったのであれば、自分が新しい国で卿大夫として取り立てられたその日から、新しい国の法に従う。

解説

君子に侍るときの応答の心得と、国を離れた者が礼をどう守るかを述べた段である。冒頭の、周囲を見回さずにすぐ答えるのは礼ではないという句は、問われたときにまず同席する人々を見て、先に答えるべき人がいないかを確かめよという意味で、自分だけが前に出ることへの戒めである。鄭玄は、論語で子路が孔子の問いに率爾として真っ先に答えた場面を例に挙げている。中心となる「君子は礼を行うに、俗を変ずるを求めず」について、鄭玄は、先祖の国を去って他国に住む者が、もとの習俗を無理に改めないのは本を重んじるためだと注している。祭祀も喪服も哭礼の位置も先祖の国のしきたりを守るのは、礼が自分の出自とのつながりを保つものだからである。ただし三代を経て本国との関係が切れ、新しい国で取り立てられたなら、その国の法に従う。出自を大切にしつつ、身を置く共同体の一員となる時には潔く新しい決まりに従うという、けじめの付け方が示されている。転職や移住をした人が、もとの流儀と新しい場所の決まりとの間でどう身を処すかを考えるうえでも示唆がある。

この章句が説くこと

礼記習俗移住本を重んず曲礼

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