礼記 / 曲礼上
從於先生,不越路而與人言。遭先生於道,趨而進,正立拱手。先生與之言,則對;不與之言,則趨而退。從長者而上丘陵,則必鄉長者所視。 登城不指,城上不呼。
新字:従於先生,不越路而与人言。遭先生於道,趨而進,正立拱手。先生与之言,則対;不与之言,則趨而退。従長者而上丘陵,則必郷長者所視。 登城不指,城上不呼。
書き下し
先生に従うには、路を越えて人と言わず。先生に道に遭えば、趨(はし)りて進み、正しく立ちて手を拱(こまぬ)く。先生これと言えば、則ち対う。これと言わざれば、則ち趨りて退く。長者に従いて丘陵に上れば、則ち必ず長者の視る所に郷(む)かう。 城に登りて指ささず、城上にて呼ばず。
現代語訳
先生につき従っているときは、道の向こう側へ行って他の人と話したりしない。道で先生に出会ったら、小走りに進み出て、姿勢を正して立ち、両手を胸の前で組んで礼をする。先生が話しかけてくれば答え、話しかけてこなければ小走りに退く。年長者に従って丘に登るときは、必ず年長者が見ている方向に目を向ける。 城壁に登ったときは指をさして示したりせず、城壁の上で大声で呼ばわらない。
解説
先生や年長者と行動をともにするときの作法である。先生に従っている最中に道を越えて他人と話し込まないのは、同行者を置き去りにしないためで、注意を目の前の人に向け続けることが敬意の表れとされている。道で出会えば小走りで近づき、正しく立って拱手し、話しかけられれば答え、そうでなければ退く。こちらから話を押しつけず、相手の意向に委ねる姿勢である。丘に登るとき年長者と同じ方向を見るのは、遠くを見ていて気づかないまま問われることがあるからだと鄭玄は注している。付き従う者は、相手の関心がどこにあるかを常に共有しておくということである。末尾の城壁の上で指さしたり叫んだりしない戒めは、人を惑わすからだと鄭玄は注している。高い所に立つ者の不用意な仕草が下の人々に大きく響くというのは、組織の上に立つ者の言動にもそのまま言えることである。
この章句が説くこと
礼記師弟敬同行曲礼
関連する章句
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『呻吟語』内篇・談道・敬は人を擇ばず、事を擇ばず、時を擇ばず或ひと敬の道を問ふ。曰く、「外面整齊嚴肅、内面齊莊中正なるは、是れ靜時涵養底の敬なり。書を讀めば則ち心讀む所に在り、事を治むれば則ち心治むる所に在るは、是れ主一無適底の敬なり。門を出づれば大賓を見るがごとく、民を使ふには大祭を承くるがごとくなるは、是れ隨事小心底の敬なり」と。或ひと曰く、「若し笑談歌詠、宴息造次の時ならば、恐らくは是くのごとくんば則ち矜持して泰然ならざらん」と。曰く、「敬は端嚴を以て體と為し、虛活を以て用と為し、正を離れざるを以て主と為す。齋日に衣冠して寢ぬるは、祭る所の者を夢寐すればなり。齋せざるの寢は、則ち衣を解き冕を脫ぐ。未だ衣冕を釋きて敬を持する者有らず。然り而して心邪僻に流れず、事道義に詭らざれば、則ち其の敬為るを害せず。君若し專ら端嚴の上に去きて敬を求めば、則ち鋤を荷ひ畚を負ひ、轡を執り車を御し、鄙事賤役、古の聖賢も皆之を為せり。豈に能く日日手容恭しく足容重からんや。又孔子の肱を曲げ掌を指し、及び居るに容らざる、點の沂に浴するがごときも、何ぞ其の敬為るを害せんや。大端心と正と依り、事と道と合へば、端嚴に拘拘たらずと雖も、其の敬為るを害せず。苟くも心千里に游び、意百欲を逐ひて、此の身は卻つて兀然として端嚴に此に在らば、這れは敬なりや否や。譬へば謹んで避け深く藏れ、燭を秉り珮を鳴らし、緩やかに步み輕く聲するは、女教の『内則』原と是くのごとし。貞信を養ふ所以なり。若し饁婦汲妻及び顛沛奔走の際に當たらば、自ら是れ迴避し得ず。然り而して貞信の守は深藏謹避する者と同じ。是れ何ぞ其の女教為るを害せんや。是の故に敬は人を擇ばず、敬は事を擇ばず、敬は時を擇ばず、敬は地を擇ばず。只だ個の心と正と依り、事と道と合ふを要するのみ」と。
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『呻吟語』内篇・修身・苟を反して敬と為す敬なる者は、苟せざるの謂ひなり。故に苟を反して敬と為す。
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