礼記 / 曲礼上
侍坐於君子,君子欠伸,撰杖屨,視日蚤莫,侍坐者請出矣。侍坐於君子,君子問更端,則起而對。侍坐於君子,若有告者曰:「少間,願有復也。」則左右屏而待。毋側聽,毋噭應,毋淫視,毋怠荒。遊毋倨,立毋跛,坐毋箕,寢毋伏。斂髮毋髢,冠毋免,勞毋袒,暑毋褰裳。
新字:侍坐於君子,君子欠伸,撰杖屨,視日蚤莫,侍坐者請出矣。侍坐於君子,君子問更端,則起而対。侍坐於君子,若有告者曰:「少間,願有復也。」則左右屏而待。毋側聴,毋噭応,毋淫視,毋怠荒。遊毋倨,立毋跛,坐毋箕,寝毋伏。斂髪毋髢,冠毋免,労毋袒,暑毋褰裳。
書き下し
君子に侍坐するに、君子欠伸し、杖屨(じょうく)を撰(と)り、日の蚤莫(そうぼ)を視れば、侍坐する者は出でんことを請う。君子に侍坐するに、君子端を更めて問えば、則ち起ちて対う。君子に侍坐するに、若し告ぐる者有りて曰く、「少しく間(かん)あらば、願わくは復(もう)すこと有らん」と。則ち左右に屏(しりぞ)きて待つ。側聴すること毋かれ、噭応(きょうおう)すること毋かれ、淫視すること毋かれ、怠荒すること毋かれ。遊ぶに倨(おご)ること毋かれ、立つに跛(かたよ)ること毋かれ、坐するに箕(き)すること毋かれ、寝ぬるに伏すること毋かれ。髪を斂(おさ)めて髢(てい)すること毋かれ、冠して免(ぬ)ぐこと毋かれ、労して袒(はだぬ)ぐこと毋かれ、暑くして裳を褰(かか)ぐること毋かれ。
現代語訳
君子のそばに侍って坐っているとき、君子があくびをしたり伸びをしたり、杖や履き物を手に取ったり、日の高さを見て時刻を気にしたりすれば、侍っている者は退出を願い出る。君子のそばに侍っているとき、君子が話題を改めて問いかけてきたら、立ち上がって答える。君子のそばに侍っているとき、誰かが来て「少しお時間をいただければ、申し上げたいことがあります」と言えば、左右に身を引いて待つ。聞き耳を立ててはならず、甲高い声で返事をしてはならず、目をきょろきょろと動かしてはならず、だらしなく気を緩めてはならない。歩くときに傲然と構えてはならず、立つときに片足に体重をかけて傾いてはならず、坐るときに両足を投げ出して箕のように開いてはならず、寝るときにうつぶせになってはならない。髪をまとめるときにかもじ(添え髪)を垂らしてはならず、冠を着けている場で冠を脱いではならず、働いているときに肌脱ぎになってはならず、暑くても裳の裾をたくし上げてはならない。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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礼記・曲礼上先生の書策琴瑟前に在れば、坐してこれを遷し、戒めて越ゆること勿かれ。虚坐には後ろを尽くし、食坐には前を尽くす。坐すること必ず安んじ、爾(なんじ)の顔を執れ。長者及ばざれば、儳言(ざんげん)すること毋かれ。爾の容を正し、聴くこと必ず恭しくせよ。勦説(そうせつ)すること毋かれ、雷同すること毋かれ。必ず古昔に則り、先王を称せよ。先生に侍坐するに、先生問えば、終わりて則ち対う。業を請うには則ち起ち、益を請うには則ち起つ。父召せば諾すること無く、先生召せば諾すること無く、唯(い)して起つ。尊敬する所に侍坐するには、席を余すこと毋かれ。同等を見ては起たず。燭至れば起ち、食至れば起ち、上客には起つ。燭は跋(もと)を見(あらわ)さず。尊客の前には狗(いぬ)を叱らず。食を譲りて唾せず。
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礼記・曲礼上帷薄(いはく)の外には趨(はし)らず、堂上には趨らず、玉を執りては趨らず。堂上には武(あしあと)を接し、堂下には武を布く。室中には翔(かけ)らず、並び坐しては肱(ひじ)を横たえず。立てるに授くるには跪かず、坐せるに授くるには立たず。 凡そ長者の為に糞(はら)うの礼は、必ず帚(ほうき)を箕(み)の上に加え、袂(たもと)を以て拘(おお)いて退く。其の塵は長者に及ばず、箕を以て自ら郷けてこれを扱(おさ)む。席を奉ずること橋衡の如くす。席を請うには何れに郷かわんと、衽(じん)を請うには何れに趾(あし)せんと。席の南郷・北郷するは、西方を以て上と為し、東郷・西郷するは、南方を以て上と為す。
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礼記・曲礼上長者に侍食するに、主人親(みずか)ら饋(き)すれば、則ち拝して食らう。主人親ら饋せざれば、則ち拝せずして食らう。 共に食らうには飽かず、共に飯するには手を沢(こす)らず。 飯を摶(まる)むること毋かれ、飯を放(ほしいまま)にすること毋かれ、流歠(りゅうせつ)すること毋かれ、咤食(たしょく)すること毋かれ、骨を齧(か)むこと毋かれ、魚肉を反すこと毋かれ、狗(いぬ)に骨を投げ与うること毋かれ。固(もっぱ)ら獲(と)ること毋かれ、飯を揚ぐること毋かれ。黍(きび)を飯するには箸を以てすること毋かれ。羹を嚃(とう)すること毋かれ、羹を絮(ととの)うること毋かれ、歯を刺すこと毋かれ、醢(かい)を歠(すす)ること毋かれ。客羹を絮うれば、主人は亨(に)ること能わずと辞し、客醢を歠れば、主人は窶(まず)しきを以て辞す。濡肉は歯にて決(た)ち、乾肉は歯にて決たず。炙(しゃ)を嘬(さい)すること毋かれ。食を卒(お)われば、客自ら前み跪き、飯斉(はんせい)を徹して以て相者(しょうしゃ)に授け、主人興ちて客に辞し、然る後に客坐す。
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礼記・少儀尊長の己に於いて等を逾(こ)ゆれば、敢えて其の年を問わず。燕見には命を将(おこな)わず。道に遇えば、見らるれば則ち面し、之(ゆ)く所を請わず。喪には事を俟ちて特(ひと)り弔せず。侍坐して使われざれば、琴瑟を執らず、地に画かず、手に容無く、翣(そう)せざるなり。寝ぬれば則ち坐して命を将う。射に侍すれば則ち矢を約し、投に侍すれば則ち矢を擁す。勝てば則ち洗いて以て請う。客も亦之の如くす。角せず、馬を擢(ぬ)かず。君の乗車を執れば則ち坐す。僕者は右に剣を帯び、良綏(りょうすい)を負い、之を面に申(の)べ、諸(これ)を幦(べき)に拖(ひ)き、散綏を以て升り、轡を執りて然る後に歩む。見えんことを請いて退かんことを請わず。朝廷には退と曰い、燕遊には帰と曰い、師役には罷と曰う。君子に侍坐するに、君子欠伸し、笏を運(めぐ)らし、剣首を沢(な)で、屨を還(めぐ)らし、日の蚤莫(そうぼ)を問えば、退かんことを請うと雖も可なり。君に事うる者は量りて而る後に入り、入りて而る後に量らず。凡そ人に乞仮し、人の為に事に従う者も亦然り。然り、故に上は怨み無く、下は罪に遠ざかるなり。密を窺わず、旁狎(ぼうこう)せず、旧故を道(い)わず、色を戯れず。人の臣下たる者は、諫むる有りて訕(そし)ること無く、亡(さ)ること有りて疾(にく)むこと無く、頌して諂うこと無く、諫めて驕ること無し。怠れば則ち張りて之を相(たす)け、廃すれば則ち掃いて之を更(あらた)む。之を社稷の役と謂う。
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礼記・曲礼上先生に従うには、路を越えて人と言わず。先生に道に遭えば、趨(はし)りて進み、正しく立ちて手を拱(こまぬ)く。先生これと言えば、則ち対う。これと言わざれば、則ち趨りて退く。長者に従いて丘陵に上れば、則ち必ず長者の視る所に郷(む)かう。 城に登りて指ささず、城上にて呼ばず。
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礼記・曲礼下君子に侍するに、顧望せずして対うるは、礼に非ざるなり。 君子は礼を行うに、俗を変ずるを求めず。祭祀の礼、居喪の服、哭泣の位、皆其の国の故の如くし、謹んで其の法を脩めて審らかにこれを行う。国を去ること三世、爵禄朝に列有り、出入国に詔(つ)ぐること有り、若し兄弟宗族猶お存すれば、則ち反りて宗後に告ぐ。国を去ること三世、爵禄朝に列無く、出入国に詔ぐること無ければ、唯だ興るの日、新国の法に従う。
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