礼記 / 曲礼上
賀取妻者,曰:「某子使某,聞子有客,使某羞。」貧者不以貨財為禮,老者不以筋力為禮。 名子者不以國,不以日月,不以隱疾,不以山川。 男女異長。男子二十,冠而字。父前,子名;君前,臣名。女子許嫁,笄而字。
新字:賀取妻者,曰:「某子使某,聞子有客,使某羞。」貧者不以貨財為礼,老者不以筋力為礼。 名子者不以国,不以日月,不以隠疾,不以山川。 男女異長。男子二十,冠而字。父前,子名;君前,臣名。女子許嫁,笄而字。
書き下し
妻を取る者を賀するには、曰く、「某子(ぼうし)某をして、子に客有りと聞き、某をして羞(すす)めしむ」と。貧者は貨財を以て礼と為さず、老者は筋力を以て礼と為さず。 子に名づくる者は国を以てせず、日月を以てせず、隠疾を以てせず、山川を以てせず。 男女は長を異にす。男子は二十にして、冠して字(あざな)す。父の前には、子は名いい、君の前には、臣は名いう。女子は許嫁すれば、笄(けい)して字す。
現代語訳
妻をめとった人に祝いを贈るときは、使者に「某様が私をつかわし、あなたの家にお客がおありと聞いて、私にこの品をお届けさせました」と言わせる。貧しい者は財貨を贈ることを礼とせず、老いた者は力仕事で奉仕することを礼としない。 子に名をつけるときは、国の名を用いず、日や月の名を用いず、体の人目につかない病の名を用いず、山や川の名を用いない。 男女はそれぞれ別に長幼の順を数える。男子は二十歳で冠をかぶって成人し、字(あざな、実名に代えて呼ぶ名)をつける。父の前では子は自分の実名を名乗り、君の前では臣は自分の実名を名乗る。女子は嫁ぎ先が決まると笄(こうがい)を挿して成人の儀を行い、字をつける。
解説
婚礼の祝い方、子の名づけ方、成人の際の字のつけ方を定めた段である。婚礼を祝う口上で「客有り」と言い、主人を名指しせず客へのもてなしの品として贈るのは、鄭玄が「昏礼は賀せず」と注するように、婚礼そのものを祝うことがはばかられたからである。婚姻は親の代が退き子の代に移ることを意味したためである。貧者は財を、老者は力を礼としないという一句は、礼は各人の分に応じて尽くせばよいという柔軟さを示している。名づけの規定で国・日月・隠れた病・山川の名を避けるのは、鄭玄の注によれば、こうした語は日常の言葉の中にあるため、死後にその名を諱(いみな)として避けることになったとき、差し障りが大きいからである。人の名が死後に口にすることを避けられる習慣を前提に、周囲の暮らしを困らせない名を選ぶという配慮がうかがえる。成人すると字をつけ、実名は父と君の前でだけ名乗るという規定は、名を大切に扱う文化の表れである。人の名前を大事に扱い、相手の事情に合わせた祝い方をするという心配りは、今の冠婚の場にも生きている。
この章句が説くこと
礼記名づけ字婚礼曲礼
関連する章句
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礼記・冠義古者冠礼は、日を筮(ぜい)し賓を筮す。冠事を敬する所以なり。冠事を敬するは、礼を重んずる所以なり。礼を重んずるは、国の本と為す所以なり。 故に阼(そ)に冠するは、以て代を著すなり。客位に醮(しょう)し、三たび加えて弥(いよいよ)尊きは、加うるに成すこと有るなり。已に冠して之に字(あざな)するは、成人の道なり。母に見(まみ)ゆれば、母之を拝す。兄弟に見ゆれば、兄弟之を拝す。成人にして与に礼を為すなり。玄冠・玄端にて摯(し)を君に奠(てん)し、遂に摯を以て郷大夫・郷先生に見ゆるは、成人を以て見ゆるなり。
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礼記・曲礼上長者に侍坐するには、屨(くつ)は堂に上げず、屨を解くに敢えて階に当たらず。屨に就くには、跪きてこれを挙げ、側に屏(しりぞ)く。長者に郷(む)かいて屨く。跪きて屨を遷し、俯して屨を納る。 離坐・離立には、往きて参(まじ)わること毋かれ。離立する者は、中間を出でず。男女は雑坐せず。椸(い)・枷(か)を同じくせず。巾・櫛を同じくせず、親授せず。嫂叔(そうしゅく)は問を通ぜず、諸母は裳を漱(あら)わしめず。外言は梱(こん)に入らず、内言は梱を出でず。女子許嫁すれば、纓(えい)す。大故有るに非ざれば、其の門に入らず。姑・姉・妹・女子子、已に嫁して反(かえ)れば、兄弟はともに席を同じくして坐せず、ともに器を同じくして食わず。父子は席を同じくせず。男女は行媒(こうばい)有るに非ざれば、相名を知らず。幣を受くるに非ざれば、交わらず親しまず。故に日月以て君に告げ、斉戒して以て鬼神に告げ、酒食を為(つく)りて以て郷党僚友を召(まね)き、以て其の別を厚くするなり。妻を取るに同姓を取らず。故に妾を買うに其の姓を知らざれば則ちこれを卜す。寡婦の子は、見(あらわ)るること有るに非ざれば、ともに友と為らず。
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礼記・雑記下女は未だ嫁を許さずと雖も、年二十にして笄(けい)し、これを礼す。婦人その礼を執る。燕(くつろ)げば則ち鬈首(けんしゅ)す。 韠(ひつ)は、長さ三尺、下の広さ二尺、上の広さ一尺。会は上を去ること五寸、紕(ひ)するに爵韋(しゃくい)六寸を以てし、下に至らざること五寸。純(ふち)するに素を以てし、紃(じゅん)するに五采を以てす。
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礼記・内則夫対えて曰く、「欽(つつし)みて帥(したが)うこと有れ」と。父、子の右手を執り、咳(がい)してこれに名づく。妻対えて曰く、「記して成すこと有らん」と。遂に左に還り、師に授く。子の師、辯(あまね)く諸婦諸母に名を告げ、妻遂に寝に適く。夫、宰に名を告げ、宰、辯く諸男に名を告げ、書して曰く、「某年某月某日某生まる」と。而してこれを蔵す。宰、閭史に告げ、閭史書して二と為し、其の一は諸を閭府に蔵し、其の一は諸を州史に献ず。州史、諸を州伯に献じ、州伯命じて諸を州府に蔵せしむ。夫入りて食すること養礼の如くす。世子生まるれば、則ち君沐浴し朝服し、夫人も亦たかくの如くし、皆阼階に立ちて西郷す。世婦、子を抱きて西階より升り、君これに名づけ、乃ち降る。適子庶子は外寝に見え、其の首を撫で咳してこれに名づく。礼は初めに帥い、辞無し。凡そ子に名づくるに、日月を以てせず、国を以てせず、隠疾を以てせず。大夫・士の子は、敢えて世子と名を同じうせず。妾将に子を生まんとして、月辰に及べば、夫は人をして日に一たびこれを問わしむ。子生まれて三月の末、漱浣して夙に斉し、内寝に見え、これを礼すること始めて室に入るが如くす。君已に食すれば、徹して、これをして特に餕せしめ、遂に入りて御す。公の庶子生まるれば、側室に就く。三月の末、其の母沐浴し朝服して君に見え、擯者(ひんじゃ)其の子を以て見えしめ、君、賜うこと有る所は、君これに名づく。衆子は、則ち有司をしてこれに名づけしむ。庶人の側室無き者は、月辰に及べば、夫出でて群室に居る。其のこれを問うや、子の父に見ゆるの礼と、以て異なること無きなり。凡そ父在せば、孫、祖に見え、祖も亦たこれに名づく。礼は子の父に見ゆるが如く、辞無し。子に食(やしな)う者は、三年にして出で、公宮に見ゆれば則ち劬(ねぎら)う。
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礼記・雑記下卒哭して諱(い)む。王父母・兄弟・世父・叔父・姑・姉妹。子は父と諱を同じくす。母の諱は、宮中に諱む。妻の諱は、諸(これ)をその側に挙げず。従祖昆弟と名を同じくすれば則ち諱む。 喪を以て冠する者は、三年の喪と雖も、可なり。既に次(じ)に冠して、入りて哭踊すること、三たびする者三たび、乃ち出づ。
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礼記・曲礼上人生まれて十年を幼と曰い、学ぶ。二十を弱と曰い、冠す。三十を壮と曰い、室有り。四十を強と曰い、而して仕う。五十を艾(がい)と曰い、官政に服す。六十を耆(き)と曰い、指使す。七十を老と曰い、而して伝う。八十・九十を耄(ぼう)と曰い、七年を悼(とう)と曰う。悼と耄とは、罪有りと雖も、刑を加えず。百年を期と曰い、頤(やしな)わる。
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