礼記 / 曲礼上
侍坐於長者,屨不上於堂,解屨不敢當階。就屨,跪而舉之,屏於側。鄉長者而屨;跪而遷屨,俯而納屨。 離坐,離立,毋往參焉。離立者,不出中間。男女不雜坐。不同椸、枷。不同巾、櫛,不親授。嫂叔不通問,諸母不漱裳。外言不入於梱,內言不出於梱。女子許嫁,纓;非有大故,不入其門。姑、姊、妹、女子子,已嫁而反,兄弟弗與同席而坐,弗與同器而食。父子不同席。男女非有行媒,不相知名。非受幣,不交不親。故日月以告君,齊戒以告鬼神,為酒食以召鄉黨僚友,以厚其別也。取妻不取同姓。故買妾不知其姓則卜之。寡婦之子,非有見焉,弗與為友。
新字:侍坐於長者,屨不上於堂,解屨不敢当階。就屨,跪而舉之,屏於側。郷長者而屨;跪而遷屨,俯而納屨。 離坐,離立,毋往参焉。離立者,不出中間。男女不雑坐。不同椸、枷。不同巾、櫛,不親授。嫂叔不通問,諸母不漱裳。外言不入於梱,内言不出於梱。女子許嫁,纓;非有大故,不入其門。姑、姊、妹、女子子,已嫁而反,兄弟弗与同席而坐,弗与同器而食。父子不同席。男女非有行媒,不相知名。非受幣,不交不親。故日月以告君,斉戒以告鬼神,為酒食以召郷党僚友,以厚其別也。取妻不取同姓。故買妾不知其姓則卜之。寡婦之子,非有見焉,弗与為友。
書き下し
長者に侍坐するには、屨(くつ)は堂に上げず、屨を解くに敢えて階に当たらず。屨に就くには、跪きてこれを挙げ、側に屏(しりぞ)く。長者に郷(む)かいて屨く。跪きて屨を遷し、俯して屨を納る。 離坐・離立には、往きて参(まじ)わること毋かれ。離立する者は、中間を出でず。男女は雑坐せず。椸(い)・枷(か)を同じくせず。巾・櫛を同じくせず、親授せず。嫂叔(そうしゅく)は問を通ぜず、諸母は裳を漱(あら)わしめず。外言は梱(こん)に入らず、内言は梱を出でず。女子許嫁すれば、纓(えい)す。大故有るに非ざれば、其の門に入らず。姑・姉・妹・女子子、已に嫁して反(かえ)れば、兄弟はともに席を同じくして坐せず、ともに器を同じくして食わず。父子は席を同じくせず。男女は行媒(こうばい)有るに非ざれば、相名を知らず。幣を受くるに非ざれば、交わらず親しまず。故に日月以て君に告げ、斉戒して以て鬼神に告げ、酒食を為(つく)りて以て郷党僚友を召(まね)き、以て其の別を厚くするなり。妻を取るに同姓を取らず。故に妾を買うに其の姓を知らざれば則ちこれを卜す。寡婦の子は、見(あらわ)るること有るに非ざれば、ともに友と為らず。
現代語訳
年長者のそばに侍って坐るときは、履き物を堂の上に上げず、履き物を脱ぐときも階段の正面をふさがない。履き物を履くときは、ひざまずいて履き物を取り上げ、脇へ退く。年長者のほうに向いて履く。ひざまずいて履き物を動かし、身をかがめて足を入れる。 二人が並んで坐り、あるいは並んで立っているところへ、割り込んで加わってはならない。二人が並んで立っているとき、その間を通り抜けてはならない。男女は入り混じって坐らない。衣を掛ける竿や衣桁を同じにしない。手ぬぐいや櫛を共用せず、物を手から手へ直接渡さない。兄嫁と義弟とは安否を問い合う行き来をせず、父の妾たちには自分の下衣を洗わせない。家の外の事柄の話は門の敷居の内に持ち込まず、家の内の事柄の話は敷居の外に持ち出さない。娘は嫁ぎ先が決まると纓(えい、婚約を示す飾り紐)を身に着ける。大きな事変がなければ、その娘の部屋の門に入らない。父の姉妹や自分の姉妹、娘が、嫁いだあと里帰りしたときは、兄弟は同じ席に並んで坐らず、同じ器で食事をしない。父と子は同じ席に坐らない。男女は仲人の往来がなければ、互いの名を知らない。結納の贈り物を受けなければ、交わらず親しまない。だから婚礼の日取りを君に告げ、斎戒して祖先の霊に告げ、酒食を用意して郷里の人々や同僚、友人を招き、男女の区別を重んじるのである。妻をめとるときは同じ姓の者をめとらない。だから妾を買い入れてその姓がわからないときは、占って決める。夫を亡くした婦人の子とは、優れた才が現れているのでなければ友としない。
解説
この章句が説くこと
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礼記・内則外内は井を共にせず、湢浴(ひょくよく)を共にせず、寝席を通ぜず、乞仮(きっか)を通ぜず、男女は衣裳を通ぜず、内言は出でず、外言は入らず。男子内に入れば、嘯(うそぶ)かず指ささず、夜行くには燭を以てし、燭無ければ則ち止む。女子門を出づれば、必ず其の面を擁蔽(ようへい)し、夜行くには燭を以てし、燭無ければ則ち止む。道路には、男子は右に由り、女子は左に由る。子婦の孝なる者、敬なる者は、父母舅姑の命に、逆らうこと勿く怠ること勿し。若しこれに飲食せしむれば、耆(この)まずと雖も、必ず嘗めて待つ。これに衣服を加うれば、欲せずと雖も、必ず服して待つ。これに事を加え、人これに待(か)わらんとすれば、己弗欲すと雖も、姑(しばら)くこれに与え、而して姑くこれを使わしめ、而して後にこれを復す。子婦に勤労の事有れば、甚だこれを愛すと雖も、姑くこれを縦(ほしいまま)にし、而して寧(むし)ろ数(しばしば)これを休ましむ。子婦未だ孝ならず未だ敬ならざれば、庸(もち)いて疾怨すること勿く、姑くこれを教えよ。若し教うべからずして、而る後にこれを怒れ。怒るべからざれば、子は放ち婦は出だして、而して礼を表わさず。父母に過ち有れば、気を下し色を怡(やわら)げ、声を柔らげて以て諫む。諫め若し入れられずんば、敬を起こし孝を起こし、説(よろこ)べば則ち復た諫む。説ばざるも、其の罪を郷党州閭(きょうとうしゅうりょ)に得んよりは、寧ろ孰(つまび)らかに諫めよ。父母怒りて説ばず、而してこれを撻(う)ちて血を流すも、敢えて疾怨せず、敬を起こし孝を起こす。父母に婢子若しくは庶子・庶孫有りて、甚だこれを愛すれば、父母没すと雖も、身を没するまでこれを敬して衰えず。子に二妾有り、父母一人を愛し、子一人を愛すれば、衣服飲食由(よ)り、執事由り、敢えて父母の愛する所に視(なら)うこと毋かれ、父母没すと雖も衰えず。子甚だ其の妻を宜しとするも、父母説ばざれば、出だす。子其の妻を宜しとせざるも、父母曰く、「是れ善く我に事う」と、子は夫婦の礼を行い、身を没するまで衰えず。
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礼記・曲礼上妻を取る者を賀するには、曰く、「某子(ぼうし)某をして、子に客有りと聞き、某をして羞(すす)めしむ」と。貧者は貨財を以て礼と為さず、老者は筋力を以て礼と為さず。 子に名づくる者は国を以てせず、日月を以てせず、隠疾を以てせず、山川を以てせず。 男女は長を異にす。男子は二十にして、冠して字(あざな)す。父の前には、子は名いい、君の前には、臣は名いう。女子は許嫁すれば、笄(けい)して字す。
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礼記・曲礼上帷薄(いはく)の外には趨(はし)らず、堂上には趨らず、玉を執りては趨らず。堂上には武(あしあと)を接し、堂下には武を布く。室中には翔(かけ)らず、並び坐しては肱(ひじ)を横たえず。立てるに授くるには跪かず、坐せるに授くるには立たず。 凡そ長者の為に糞(はら)うの礼は、必ず帚(ほうき)を箕(み)の上に加え、袂(たもと)を以て拘(おお)いて退く。其の塵は長者に及ばず、箕を以て自ら郷けてこれを扱(おさ)む。席を奉ずること橋衡の如くす。席を請うには何れに郷かわんと、衽(じん)を請うには何れに趾(あし)せんと。席の南郷・北郷するは、西方を以て上と為し、東郷・西郷するは、南方を以て上と為す。
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礼記・郊特牲天地合して後に万物興る。夫れ昏礼は、万世の始めなり。異姓に取るは、遠きに附きて別を厚くする所以なり。幣は必ず誠にし、辞は腆(てん)ならざる無し。これに告ぐるに直信を以てす。信は、人に事うるなり。信は、婦の徳なり。壱(ひと)たびこれと斉(ひと)しくすれば、終身改めず。故に夫死して嫁がず。男子親迎し、男、女に先んずるは、剛柔の義なり。天、地に先んじ、君、臣に先んず、其の義一なり。摯(し)を執りて以て相見ゆるは、敬して別を章(あきら)かにするなり。男女別有りて、然る後に父子親しみ、父子親しみて然る後に義生じ、義生じて然る後に礼作(おこ)り、礼作りて然る後に万物安んず。別無く義無きは、禽獣の道なり。婿親ら御して綏(すい)を授くるは、これを親しむなり。これを親しむとは、これを親しましむるなり。敬してこれを親しむは、先王の天下を得る所以なり。大門を出でて先んずるは、男は女を帥(ひき)い、女は男に従う、夫婦の義これ由り始まるなり。婦人は、人に従う者なり。幼にしては父兄に従い、嫁しては夫に従い、夫死しては子に従う。夫なる者は、夫(ふ)なり。夫なる者は、知を以て人を帥いる者なり。玄冕して斎戒するは、鬼神陰陽なればなり。将に以て社稷の主と為り、先祖の後と為らんとす、而して以て敬を致さざるべけんや。牢を共にして食らうは、尊卑を同じうするなり。故に婦人は爵無く、夫の爵に従い、坐するには夫の歯(よわい)を以てす。器に陶匏を用うるは、礼を尚びて然るなり。三王、牢を作るに陶匏を用う。厥(そ)の明(あ)くる、婦、盥(かん)して饋(き)す。舅姑、食を卒うれば、婦、余りを餕(しゅん)す、これを私するなり。舅姑は西階より降り、婦は阼階より降る、これに室を授くるなり。昏礼に楽を用いざるは、幽陰の義なり。楽は陽気なり。昏礼に賀せざるは、人の序なればなり。
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礼記・曲礼上将に舎に適(ゆ)かんとするには、求むること固(こ)なること毋かれ。将に堂に上らんとするには、声必ず揚ぐ。戸外に二屨(にく)有るに、言聞こゆれば、則ち入る。言聞こえざれば、則ち入らず。将に戸に入らんとするには、視ること必ず下にす。戸に入りては扃(けい)を奉じ、視瞻(しせん)回らすこと毋かれ。戸開けるは亦た開き、戸闔(と)じたるは亦た闔ず。後に入る者有らば、闔じて遂(と)げること勿かれ。屨を践むこと毋かれ、席を踖(ふ)むこと毋かれ。衣を摳(かか)げて隅に趨(はし)る。必ず唯諾(いだく)を慎む。
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礼記・内則昧爽にして朝し、慈(いつく)しむに旨甘(しかん)を以てす。日出でて退き、各々其の事に従い、日入りて夕(せき)し、慈しむに旨甘を以てす。父母舅姑将に坐せんとすれば、席を奉じて何(いず)くにか郷(む)かわんと請う。将に衽(しん)せんとすれば、長者席を奉じて何くにか趾(あし)せんと請う。少者は床を執りて与(とも)に坐し、御者は几を挙げ、席と簟とを斂め、衾を県(か)け枕を篋(おさ)め、簟を斂めてこれを襡(ふくろ)にす。父母舅姑の衣衾簟席枕几は伝えず、杖屨は祇(つつし)みてこれを敬し、敢えて近づくこと勿し。敦牟卮匜(たいぼうしい)は、餕(しゅん)に非ざれば敢えて用うる莫し。恒の食飲とともに、餕に非ざれば、敢えてこれを飲食する莫し。父母在(いま)せば、朝夕の恒食に、子婦佐けて餕す。既に食すれば恒に餕す。父没して母存すれば、冢子(ちょうし)食に御し、群子婦佐けて餕すること初めの如し。旨甘柔滑は、孺子餕す。父母舅姑の所に在りて、これに命ずること有れば、応じて唯(い)し敬して対う。進退周旋は慎み斉(ととの)え、升降出入は揖游(ゆうゆう)し、敢えて噦噫(えつあい)・嚔咳(ていがい)・欠伸(けんしん)・跛倚(はい)・睇視(ていし)せず、敢えて唾洟(だい)せず。寒くとも敢えて襲(かさ)ねず、癢くとも敢えて搔かず。敬事有らざれば、敢えて袒裼(たんせき)せず、渉らざれば撅(かか)げず、褻衣衾は裏を見さず。父母の唾洟は見さず。冠帯垢づけば、灰を和して漱(あら)わんことを請う。衣裳垢づけば、灰を和して浣(あら)わんことを請う。衣裳綻裂すれば、箴(はり)を紉(とお)して補綴せんことを請う。五日には、則ち湯を燂(あたた)めて浴せんことを請い、三日には沐を具う。其の間、面垢づけば、潘(はん)を燂めて靧(かい)せんことを請い、足垢づけば、湯を燂めて洗わんことを請う。少は長に事え、賤は貴に事え、共に時(これ)に帥(したが)う。男は内を言わず、女は外を言わず。祭に非ず喪に非ざれば、相器を授けず。其の相授くるには、則ち女は受くるに篚(ひ)を以てす。其の篚無ければ則ち皆坐してこれを奠(お)きて後にこれを取る。
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