礼記 / 冠義
古者冠禮,筮日筮賓,所以敬冠事。敬冠事,所以重禮。重禮,所以為國本也。 故冠於阼,以著代也。醮於客位,三加彌尊,加有成也。已冠而字之,成人之道也。見於母,母拜之;見於兄弟,兄弟拜之;成人而與為禮也。玄冠、玄端奠摯於君,遂以摯見於鄉大夫、鄉先生,以成人見也。
新字:古者冠礼,筮日筮賓,所以敬冠事。敬冠事,所以重礼。重礼,所以為国本也。 故冠於阼,以著代也。醮於客位,三加弥尊,加有成也。已冠而字之,成人之道也。見於母,母拝之;見於兄弟,兄弟拝之;成人而与為礼也。玄冠、玄端奠摯於君,遂以摯見於郷大夫、郷先生,以成人見也。
書き下し
古者冠礼は、日を筮(ぜい)し賓を筮す。冠事を敬する所以なり。冠事を敬するは、礼を重んずる所以なり。礼を重んずるは、国の本と為す所以なり。 故に阼(そ)に冠するは、以て代を著すなり。客位に醮(しょう)し、三たび加えて弥(いよいよ)尊きは、加うるに成すこと有るなり。已に冠して之に字(あざな)するは、成人の道なり。母に見(まみ)ゆれば、母之を拝す。兄弟に見ゆれば、兄弟之を拝す。成人にして与に礼を為すなり。玄冠・玄端にて摯(し)を君に奠(てん)し、遂に摯を以て郷大夫・郷先生に見ゆるは、成人を以て見ゆるなり。
現代語訳
昔の冠礼では、行う日を占い、冠をかぶせる役の賓(ひん)を占って決めた。冠礼を敬うためである。冠礼を敬うのは、礼を重んじるためである。礼を重んじるのは、それを国の根本とするためである。 そこで、東の階段の上(阼、そ)で冠をかぶせるのは、やがて父に代わって家を継ぐ者であることを明らかにするためである。客の位置で醮(しょう、酒をすすめる儀式)を行い、三度冠をかぶせ、そのたびにより尊い冠にしてゆくのは、冠を加えるごとに成人としての徳を成就させてゆくことを表すためである。冠をかぶり終えたのち字(あざな、成人の呼び名)を与えるのは、成人として遇する道である。母に会えば母がこれに拝礼し、兄弟に会えば兄弟がこれに拝礼する。成人として、ともに礼を交わす相手となったからである。黒い冠と黒い礼服(玄端、げんたん)を着て、君に贈り物(摯、し)を奉り、続いて贈り物を携えて郷大夫(きょうたいふ、郷を治める長官)や郷先生(官を退いて郷で教える老人)に面会するのは、成人として面会するのである。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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礼記・冠義之を成人とする者は、将に成人の礼を責めんとするなり。成人の礼を責むる者は、将に人の子たり、人の弟たり、人の臣たり、人の少者たるの礼行を責めんとするなり。将に四者の行いを人に責めんとす、其の礼重んぜざるべけんや。 故に孝弟忠順の行い立ちて、而る後に以て人たるべし。以て人たるべくして、而る後に以て人を治むべきなり。故に聖王は礼を重んず。故に曰く、「冠は、礼の始めなり、嘉事の重き者なり」と。是の故に、古者は冠を重んず。冠を重んず、故に之を廟に行う。之を廟に行うは、事を尊重する所以なり。事を尊重して、敢えて重事を擅(ほしいまま)にせず。敢えて重事を擅にせざるは、自ら卑くして先祖を尊ぶ所以なり。
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礼記・冠義凡そ人の人たる所以の者は、礼義なり。礼義の始めは、容体を正し、顔色を斉え、辞令を順にするに在り。容体正しく、顔色斉い、辞令順にして、而る後に礼義備わる。以て君臣を正し、父子を親しみ、長幼を和す。君臣正しく、父子親しみ、長幼和して、而る後に礼義立つ。故に冠して而る後に服備わり、服備わりて而る後に容体正しく、顔色斉い、辞令順なり。故に曰く、「冠は、礼の始めなり」と。是の故に古者(いにしえ)聖王は冠を重んず。
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礼記・郊特牲冠義。始めてこれに冠するは、緇布(しふ)の冠なり。大古は布を冠し、斉(ものいみ)すれば則ちこれを緇(くろ)くす。其の緌(ずい)は、孔子曰く、「吾未だこれを聞かざるなり。冠してこれを敝(す)つるも可なり」と。適子、阼に冠するは、以て代を著すなり。客位に醮(しょう)するは、成有るを加うるなり。三たび加えて弥々(いよいよ)尊きは、其の志を諭すなり。冠してこれに字(あざな)するは、其の名を敬するなり。委貌(いぼう)は、周の道なり。章甫(しょうほ)は、殷の道なり。毋追(ぶつい)は、夏后氏の道なり。周は弁、殷は冔(く)、夏は収。三王共に皮弁素積す。大夫の冠礼無くして、其の昏礼有り。古者、五十にして後に爵す、何の大夫の冠礼かこれ有らん。諸侯の冠礼有るは、夏の末に造れるなり。天子の元子も、士なり。天下に生まれながらにして貴き者無きなり。世を継ぎて以て諸侯を立つるは、賢に象るなり。官を以て人を爵するは、徳の殺(さい)なり。死して諡(おくりな)するは、今なり。古者は生きて爵無く、死して諡無し。礼の尊ぶ所は、其の義を尊ぶなり。其の義を失いて、其の数を陳ぬるは、祝史の事なり。故に其の数は陳ぬべきも、其の義は知り難きなり。其の義を知りて敬しんでこれを守るは、天子の天下を治むる所以なり。
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礼記・曲礼上妻を取る者を賀するには、曰く、「某子(ぼうし)某をして、子に客有りと聞き、某をして羞(すす)めしむ」と。貧者は貨財を以て礼と為さず、老者は筋力を以て礼と為さず。 子に名づくる者は国を以てせず、日月を以てせず、隠疾を以てせず、山川を以てせず。 男女は長を異にす。男子は二十にして、冠して字(あざな)す。父の前には、子は名いい、君の前には、臣は名いう。女子は許嫁すれば、笄(けい)して字す。
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礼記・昏義夫(そ)れ礼は冠に始まり、昏に本づき、喪祭に重く、朝聘(ちょうへい)に尊く、郷射(きょうしゃ)に和す。此れ礼の大体なり。 夙(つと)に興き、婦沐浴して以て見(まみ)ゆるを俟つ。質明(しつめい)に、賛、婦を舅姑(きゅうこ)に見えしむ。婦、笲(はん)・棗(なつめ)・栗・段脩(だんしゅう)を執りて以て見ゆ。賛、婦に醴(れい)す。婦、脯醢(ほかい)を祭り、醴を祭るは、婦の礼を成すなり。舅姑室に入り、婦、特豚(とくとん)を以て饋(き)するは、婦の順を明らかにするなり。厥(そ)の明、舅姑共に婦を饗するに一献の礼を以てす。奠酬(てんしゅう)して、舅姑先に西階より降り、婦、阼階(そかい)より降るは、以て代わるを著(あら)わすなり。
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説苑・修文冠とは成人を別つ所以なり、德を脩め躬を束ねて以て自ら申飭す、其の邪心を檢し、其の正意を守る所以なり。君子始めて冠するや、必ず成禮を祝し、冠を加えて以て其の心を屬す、故に君子成人するや、必ず冠帶して以て事を行い、幼少嬉戲惰慢の心を棄てて、進德脩業の志に衎衎たり。是の故に服象を成さざるも、內心變ぜず、內心德を脩め、外禮文を被る、顯令の名を成す所以なり。是の故に皮弁素積、百王易えず、既に以て德を脩め、又以て容を正す。孔子曰く、「其の衣冠を正しくし、其の瞻視を尊くすれば、嚴然として人望みて之を畏る、亦威にして猛からずならずや?」と。
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