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礼記 / 曲礼上

將適舍,求毋固。將上堂,聲必揚。戶外有二屨:言聞,則入;言不聞,則不入。將入戶,視必下。入戶奉扃,視瞻毋回;戶開亦開,戶闔亦闔;有後入者,闔而勿遂。毋踐屨,毋踖席;摳衣趨隅。必慎唯諾。

新字:将適舎,求毋固。将上堂,声必揚。戸外有二屨:言聞,則入;言不聞,則不入。将入戸,視必下。入戸奉扃,視瞻毋回;戸開亦開,戸闔亦闔;有後入者,闔而勿遂。毋践屨,毋踖席;摳衣趨隅。必慎唯諾。

書き下し

将に舎に適(ゆ)かんとするには、求むること固(こ)なること毋かれ。将に堂に上らんとするには、声必ず揚ぐ。戸外に二屨(にく)有るに、言聞こゆれば、則ち入る。言聞こえざれば、則ち入らず。将に戸に入らんとするには、視ること必ず下にす。戸に入りては扃(けい)を奉じ、視瞻(しせん)回らすこと毋かれ。戸開けるは亦た開き、戸闔(と)じたるは亦た闔ず。後に入る者有らば、闔じて遂(と)げること勿かれ。屨を践むこと毋かれ、席を踖(ふ)むこと毋かれ。衣を摳(かか)げて隅に趨(はし)る。必ず唯諾(いだく)を慎む。

現代語訳

人の家を訪ねようとするときは、主人に対して無理に何かを求めてはならない。堂に上がろうとするときは、必ず声を上げて来訪を知らせる。戸口の外に二足の履き物があるとき、中から話し声が聞こえれば入るが、話し声が聞こえなければ入らない。戸口を入ろうとするときは、必ず視線を下に向ける。戸口を入るときは、閂(かんぬき)を両手で捧げ持つようにして扱い、きょろきょろと見回してはならない。戸が開いていたら開けたままにし、閉まっていたら閉めておく。後から入ってくる者がいれば、戸を閉めかけても閉めきってはならない。他人の履き物を踏んではならず、席をまたいで踏みつけてはならない。衣の裾をつまみ上げて、席の隅のほうへ小走りに進む。応答の返事は必ず慎重にする。

解説

人の家を訪ねるときの作法を、玄関から席に着くまでの順を追って述べた段である。堂に上がる前に声を上げるのは、鄭玄が「内の人を警(いまし)むるなり」と注するとおり、中の人に心づもりをさせるためである。戸外に二足の履き物があって話し声が聞こえないときに入らないのは、内密の話をしている二人の邪魔をしないためで、声がするなら入ってよいという判断基準まで示されている。戸口で視線を下げ、中をじろじろと見回さないのも、相手の私的な空間に踏み込みすぎない配慮である。戸を元の状態に戻し、後から来る人のために閉めきらないという規定は、自分の後の人まで考える気遣いを求めている。履き物を踏まず、席をまたがず、裾をつまんで隅から座に進むという細かな所作は、どれも相手の空間と持ち物への敬意の表れである。訪問やオフィスへの入室の心得として、今もほとんどそのまま通用する内容である。

この章句が説くこと

礼記訪問入室敬曲礼

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