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礼記 / 曲礼上

為人子者:父母存,冠衣不純素;孤子當室,冠衣不純采。 幼子常視毋誑,童子不衣裘裳。立必正方。不傾聽。長者與之提攜,則兩手奉長者之手。負、劍,辟咡詔之,則掩口而對。

新字:為人子者:父母存,冠衣不純素;孤子当室,冠衣不純采。 幼子常視毋誑,童子不衣裘裳。立必正方。不傾聴。長者与之提攜,則両手奉長者之手。負、剣,辟咡詔之,則掩口而対。

書き下し

人の子為る者は、父母存すれば、冠衣は純(ふち)素ならず。孤子にして室に当たれば、冠衣は純采ならず。 幼子には常に視(しめ)すに誑(あざむ)くこと毋(な)かれ。童子は裘裳(きゅうしょう)を衣(き)ず。立つには必ず方を正しくす。傾け聴かず。長者これと提携すれば、則ち両手もて長者の手を奉ず。負い、剣(わきばさ)み、辟咡(へきじ)してこれに詔(つ)ぐれば、則ち口を掩(おお)いて対う。

現代語訳

子である者は、父母が健在であれば、冠や衣の縁取りを白一色にしない(白は喪を思わせるため)。父を亡くして家を継いだ子は、冠や衣の縁取りを色とりどりにしない。 幼い子には、常に嘘を言わず正しいことを示して見せよ。子どもには皮衣や裳(も、下半身の衣)を着せない。立つときは必ず正しい方向に向かって立たせる。首を傾けて聞き耳を立てるようなことをさせない。年長者が手を引いてくれるときは、両手で年長者の手をささげ持つ。年長者が子を背負ったり脇に抱えたりして、顔を寄せて話しかけてきたときは、口を手で覆って答える。

解説

服飾の色と、幼い子のしつけを定めた段である。前半では、親が生きているうちは冠や衣の縁を白一色にしないとする。白は喪の色であり、親の死を予感させる装いを避けるという配慮である。逆に父を亡くして家を継いだ子は、華やかな色の縁を避けて哀しみを忘れない。装いの色一つにも親への思いを込めるのが礼である。後半は子どもの教育で、「幼子には常に視すに誑くこと毋かれ」という句がとりわけ重い。子どもは大人の言動をそのまま手本にするので、嘘を見せれば嘘を学ぶ。この教えは後に、曾子が妻の子への方便を真に受けて本当に豚を殺したという韓非子の逸話とも重ねて語られるようになった。年長者に手を引かれたら両手で奉じ、顔を寄せて話しかけられたら口を覆って答えるのは、息がかからないようにする心遣いである。子どもに正直さと相手への気遣いを、大人自身の振る舞いで示すことの大切さは今も変わらない。

この章句が説くこと

礼記教育正直服飾曲礼

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