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無門関 / 第四十則 趯倒淨瓶

【無門曰】溈山一期之勇。爭奈跳百丈圈圚不出。檢點將來。便重不便輕。何故聾脫得盤頭。擔起鐵枷。【頌曰】颺下箍籬并木杓 當陽一突絕周遮 百丈重關攔不住 腳尖趯出佛如麻

新字:【無門曰】溈山一期之勇。争奈跳百丈圏圚不出。検点将来。便重不便軽。何故聾脱得盤頭。担起鉄枷。【頌曰】颺下箍籬并木杓 当陽一突絶周遮 百丈重関攔不住 脚尖趯出仏如麻

書き下し

無門曰く、溈山一期の勇、争奈(いかん)せん百丈の圏圚(けんき)を跳り出でざることを。検点し将ち来たれば、重きに便にして軽きに便ならず。何が故ぞ。聾、盤頭を脱得して、鉄枷を担起す。頌に曰く、箍籬并びに木杓を颺下(ようげ)して、当陽の一突、周遮(しゅうしゃ)を絶す。百丈の重関も攔(さえぎ)り住(とど)めず、脚尖(きゃくせん)趯出(てきしゅつ)して仏麻の如し。

現代語訳

無門は言う。潙山(いさん、潙山霊祐)の一時の勇気は見事だが、残念なことに百丈(百丈懐海)の囲いを跳び出すことはできなかった。点検してみれば、重い仕事を選んで軽い仕事を選ばなかったのだ。なぜか。見よ、頭巾を脱いだかと思えば、鉄の首かせを担いでしまった。頌に言う。ざると木の杓子を放り投げ、真正面からの一突きで、まわりくどい言葉を断ち切った。百丈の重い関門も彼をさえぎり止めることはできず、足先で蹴り出せば、仏が麻のように次々と現れる。

解説

本則は、百丈懐海が大潙山の住職を選ぶため、浄瓶を置いて「浄瓶と呼ばずに何と呼ぶか」と問い、首座が理屈で答えたのに対し、典座(台所係)の潙山霊祐が浄瓶を蹴り倒して去り、開山に選ばれた話である。無門は潙山の勇気を認めつつ、結局は百丈の仕掛けた囲いの中にいたと言う。台所の気楽な役を捨てて、山の開山という鉄の首かせを担ぐ羽目になったからだ。頌では一転して、ざると杓子を投げ捨てた一突きの見事さを讃える。けなしと讃えが一体なのが無門である。型を破って抜擢された人は、その瞬間から新しい重責という枷を負う。型破りは終わりではなく、次の苦労の始まりである。

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