孟子 / 公孫丑章句下
孟子之平陸,謂其大夫曰:「子之持戟之士,一日而三失伍,則去之否乎?」曰:「不待三。」「然則子之失伍也亦多矣。兇年饑歲,子之民老羸轉於溝壑,壯者散而之
新字:孟子之平陸,謂其大夫曰:「子之持戟之士,一日而三失伍,則去之否乎?」曰:「不待三。」「然則子之失伍也亦多矣。兇年饑歳,子之民老羸転於溝壑,壮者散而之
書き下し
孟子平陸に之き、其の大夫に謂ひて曰く、「子の持戟の士、一日にして三たび伍を失はば、則ち之を去らんや否や。」曰く、「三を待たず。」「然らば則ち子の伍を失ふや亦た多し。凶年饑歳には、子の民、老羸は溝壑に転じ、壮者は散じて之き
現代語訳
孟子が平陸(へいりく、斉の邑)に行き、そこの大夫(長官)に言った。「あなたの戟を持つ兵士が、一日に三度も隊列を離れたら、その者を除くか。」大夫は言った。「三度も待たない。」「それならば、あなた自身が隊列を離れていることもまた多い。凶作や飢饉の年には、あなたの民のうち、老人や弱い者は谷や溝に転がり落ちて死に、壮年の者は散り散りになって(四方へ)逃れて……
解説
孟子が斉の平陸という町の長官に、職責の自覚を問う場面の前半です。戟を持つ兵士が一日に三度も持ち場を離れたら解任するかと問うと、長官は三度も待たないと答えます。孟子はすかさず、それならあなた自身も何度も持ち場を離れている、と切り返します。凶作の年に老人や弱者が行き倒れ、若者が散り散りに逃げているのは、民を守るという長官の持ち場が守られていない証拠だというのです。部下の失敗には厳しいのに自分の責任には気づかない、という人の弱点を、相手自身の言葉で突く孟子らしい論法です。この後、長官は自分の罪を認めることになります。人を評価する物差しを、そのまま自分にも当ててみることの大切さを教えてくれます。
関連する章句
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孟子・公孫丑章句下孟子、平陸に之き、其の大夫に謂いて曰く、「子の持戟の士、一日にして、三たび伍を失わば、則ち之を去るや否や。」曰く、「三たびを待たず。」「然らば則ち子の伍を失うや亦た多し。凶年饑歲には、子の民、老羸は溝壑に轉じ、壯者の散りて四方に之く者、幾千人ぞ。」曰く、「此れ距心の為すを得る所に非ざるなり。」曰く、「今、人の牛羊を受けて之が為に之を牧する者有らば、則ち必ず之が為に牧と芻とを求めん。牧と芻とを求めて得ずんば、則ち諸を其の人に反さんか。抑々亦た立ちて其の死を視んか。」曰く、「此れ則ち距心の罪なり。」他日、王に見えて曰く、「王の都を為むる者、臣、五人を知れり。其の罪を知る者は、惟だ孔距心のみ。」王の為に之を誦す。王曰く、「此れ則ち寡人の罪なり。」
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孟子・公孫丑章句下孟子、齊を去り、晝に宿す。王の為に行を留めんと欲する者有り。坐して言う。應えず。几に隱りて臥す。客悅ばずして曰く、「弟子齊宿して後敢て言う。夫子臥して聽かず。請う復び敢て見ゆること勿らん。」曰く、「坐せよ。我明らかに子に語げん。昔者、魯の繆公は、子思の側に人無ければ、則ち子思を安んずる能わず。泄柳・申詳は、繆公の側に人無ければ、則ち其の身を安んずる能わず。子、長者の為に慮りて、子思に及ばず。子、長者を絶つか、長者、子を絶つか。」
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孟子・梁惠王章句下鄒と魯と鬨う。穆公問いて曰く、「吾が有司の死する者三十三人。而るに民之に死する莫きなり。之を誅せんとせば、則ち勝げて誅す可からず。誅せざれば、則ち其の長上の死を疾視して救わず。之を如何せば則ち可ならん。」孟子對えて曰く、「凶年饑歲には、君の民、老弱は溝壑(コウ・ガク)に轉じ、壯者は散じて四方に之く者、幾千人ぞ。而るに君の倉廩は實ち、府庫は充ち、有司以て告ぐる莫し。是れ上慢にして下を殘うなり。曾子曰く、『之を戒めよ、之を戒めよ。爾に出づる者は、爾に反る者なり。』夫れ民今にして後、之を反すことを得たるなり。君尤むること無かれ。君仁政を行わば、斯に民は其の上に親しみ、其の長に死なん。」
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