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名将言行録 / 『名将言行録』明智光秀 名将を並べる教養

○天正元年、信長、武田晴信の死するを聞き、信玄こそ實に良將とも言べけれ、夫に付古來よりの名將、幾人ありや、汝は古今に通達せし者なればとて、尋ねける。光秀則ち坂上田村麻呂より一々諸將の顛末を申述、信長まで申しゝかば、飯尾新七之を書付たり。信長、之を見、某を書載することとなり、左申す光秀こそ、無雙の名將なり、若手にては、德川家康、凡下にては羽柴秀吉なりと言はれけり。

新字:○天正元年、信長、武田晴信の死するを聞き、信玄こそ実に良将とも言べけれ、夫に付古来よりの名将、幾人ありや、汝は古今に通達せし者なればとて、尋ねける。光秀則ち坂上田村麻呂より一々諸将の顛末を申述、信長まで申しゝかば、飯尾新七之を書付たり。信長、之を見、某を書載することとなり、左申す光秀こそ、無双の名将なり、若手にては、徳川家康、凡下にては羽柴秀吉なりと言はれけり。

書き下し

○天正元年、信長、武田晴信の死するを聞き、信玄こそ實に良將とも言べけれ、夫に付古來よりの名將、幾人ありや、汝は古今に通達せし者なればとて、尋ねける。光秀則ち坂上田村麻呂より一々諸將の顛末を申述、信長まで申しゝかば、飯尾新七之を書付たり。信長、之を見、某を書載することとなり、左申す光秀こそ、無雙の名將なり、若手にては、德川家康、凡下にては羽柴秀吉なりと言はれけり。

現代語訳

天正元年、信長は武田晴信が亡くなったことを聞き、信玄こそ本当に良将と言うべきだ、それについて古来の名将は何人いるか、お前は古今に通じた者なので、と尋ねました。光秀はそこで、坂上田村麻呂から一人ずつ諸将の顛末を申し述べ、信長までを述べたので、飯尾新七がこれを書き付けました。信長はこれを見て、私を書き載せたのは余計なことだ、と言い、さらに、そう申す光秀こそ無双の名将である、若手では徳川家康、凡下では羽柴秀吉だ、と言いました。

解説

信長に問われた光秀が、歴代の名将をあげ、信長自身まで並べた逸話です。信長は書き付けを見て、自分を入れたことを余計と言い、光秀こそ無双の名将、若手では家康、身分の低い者では秀吉と語ったと伝わります。細部は岡谷の集めた話で、確かさは分かりません。ここから読めるのは、歴史に通じた人の教養が、上司との対話の質を高めるという点です。現代の仕事でも、過去の事例を整理して語れる人は、判断の相談を受けやすくなります。ただ、褒め言葉が後の関係を保証するとは限りません。
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