君子訓 / 巻之下
一士の節義あるを上より賞美すれば、士の風俗强くして忠臣勇士多く出づ。もし柔惰にして從ひやすき者を悅び、剛直なる士をきらへば、士の風俗弱くなりて恥を知らず、佞諛の人多く出づ。故に忠信を重んじ、節義を貴ぶは、士を敎ふるの道なり。
新字:一士の節義あるを上より賞美すれば、士の風俗強くして忠臣勇士多く出づ。もし柔惰にして従ひやすき者を悦び、剛直なる士をきらへば、士の風俗弱くなりて恥を知らず、佞諛の人多く出づ。故に忠信を重んじ、節義を貴ぶは、士を教ふるの道なり。
書き下し
一士の節義あるを上より賞美すれば、士の風俗強くして忠臣勇士多く出づ。もし柔惰にして従ひやすき者を悦び、剛直なる士をきらへば、士の風俗弱くなりて恥を知らず、佞諛の人多く出づ。故に忠信を重んじ、節義を貴ぶは、士を教ふるの道なり。
現代語訳
士の節義ある行いを上が賞美すれば、士の気風は強くなり、忠臣や勇士が多く出ます。もし気力が弱く従いやすい者を喜び、剛直な士を嫌えば、士の気風は弱くなって恥を知らず、へつらう者が多く出ます。だから忠信を重んじ、節義を尊ぶのが、士を教える道です。
解説
上が何を褒めるかで家臣の気風が決まる、と説く短い条です。節義を貫く者を賞すれば忠臣や勇士が育ち、言いなりになる者ばかり可愛がって剛直な者を嫌えば、恥を知らないへつらい者が増えるというのです。益軒は、士を教える道は言葉で説くことより、何を重んじ何を評価するかにあると見ています。耳の痛いことを言う部下を遠ざけ、従順な者だけを引き立てると組織は弱くなるという指摘は、今の人事評価や後継者選びにもそのまま当てはまる教えです。
この章句が説くこと
節義忠評価士気風
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