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君子訓 / 巻之下

一臣下に祿を與へ過して富貴になるれば、奢りて使ひ難く、用に立たず。臣下貧究に迫れば、必恥を知らず、僞り邪になりて忠なし。一凡高官の前にありては、いかなる小人も愼み隱す故に、姦惡ありといへども知れず。民に臨んで愼まざる故に、其行ふ所、善惡まぎれなし。故に吏の善惡は、下より告ぐる所を聞きて、其上にて其善惡を糺すべし。訟ふる者を咎めず、民の口を塞ぐべからず。

新字:一臣下に禄を与へ過して富貴になるれば、奢りて使ひ難く、用に立たず。臣下貧究に迫れば、必恥を知らず、偽り邪になりて忠なし。一凡高官の前にありては、いかなる小人も慎み隠す故に、姦悪ありといへども知れず。民に臨んで慎まざる故に、其行ふ所、善悪まぎれなし。故に吏の善悪は、下より告ぐる所を聞きて、其上にて其善悪を糺すべし。訟ふる者を咎めず、民の口を塞ぐべからず。

書き下し

一臣下に禄を与へ過して富貴になるれば、奢りて使ひ難く、用に立たず。臣下貧究に迫れば、必恥を知らず、偽り邪になりて忠なし。一凡高官の前にありては、いかなる小人も慎み隠す故に、姦悪ありといへども知れず。民に臨んで慎まざる故に、其行ふ所、善悪まぎれなし。故に吏の善悪は、下より告ぐる所を聞きて、其上にて其善悪を糺すべし。訟ふる者を咎めず、民の口を塞ぐべからず。

現代語訳

臣下に禄を与えすぎて富貴にすると、奢って使いにくくなり、役に立ちません。臣下が貧窮に迫られると、必ず恥を知らなくなり、偽り曲がって忠義がなくなります。およそ高官の前では、どんな小人も慎んで隠すので、悪があっても分かりません。民に臨むときは慎まないので、その行いの善悪ははっきり現れます。だから役人の善悪は、下から告げてくることを聞いて、そのうえでその善悪を糾すべきです。訴える者を咎めず、民の口をふさいではなりません。

解説

二つの条が並びます。一つは臣下の禄は多すぎれば奢って働かず、少なすぎれば困窮して恥を忘れ不正に走るという、報酬の適度を説いたものです。もう一つは、役人は上役の前では取りつくろうので、本当の姿は民に接するときに現れる、だから民の訴えを聞いて評価し、訴えた者を咎めるなというものです。報酬の水準と、上司の目ではなく現場や顧客の声で人を評価することは、今の人事制度や内部通報の仕組みを考えるうえでもそのまま役立つ視点です。

この章句が説くこと

禄評価民忠訴え

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