導師導古典を学びたいすべての人に

君子訓 / 巻之中

一農の田を賴むは、魚の水に住み、木の土に生ずるが如し。魚水無ければ死し、木は土なければ枯る。民に田なければ業を失ふ故、農の田に離るゝは憐むべし。一聖人民の力は國の基なる事を知り給へり。故に公役をば省き、民の隙を惜み給ふ。周禮には、民を使ふこと豐年には一夫三日、中年には二日、凶年には一日、至りて年惡しく民痛めば一日も使はずといへり。

新字:一農の田を頼むは、魚の水に住み、木の土に生ずるが如し。魚水無ければ死し、木は土なければ枯る。民に田なければ業を失ふ故、農の田に離るゝは憐むべし。一聖人民の力は国の基なる事を知り給へり。故に公役をば省き、民の隙を惜み給ふ。周礼には、民を使ふこと豊年には一夫三日、中年には二日、凶年には一日、至りて年悪しく民痛めば一日も使はずといへり。

書き下し

一農の田を頼むは、魚の水に住み、木の土に生ずるが如し。魚水無ければ死し、木は土なければ枯る。民に田なければ業を失ふ故、農の田に離るるは憐むべし。一聖人民の力は国の基なる事を知り給へり。故に公役をば省き、民の隙を惜み給ふ。周礼には、民を使ふこと豊年には一夫三日、中年には二日、凶年には一日、至りて年悪しく民痛めば一日も使はずといへり。

現代語訳

農民が田を頼りにするのは、魚が水に住み、木が土に生えるようなものです。魚は水がなければ死に、木は土がなければ枯れます。民は田がなければ生業を失うので、農民が田を離れるのは憐れむべきことです。聖人は民の力が国の基であることを知っておられました。ですから公の労役を省き、民の暇を惜しまれました。周礼には「民を使うことは、豊年には一人三日、平年には二日、凶年には一日、ひどく年が悪く民が痛んでいれば一日も使わない」とあります。

解説

農民にとっての田は魚にとっての水、木にとっての土と同じで、田を失えば生きる術を失う、と農民への深い同情を示しています。そのうえで、民の力こそ国の基であるから労役を省いて民の暇を惜しめ、と周礼の制度を引いています。周礼に、年の豊凶に応じて労役の日数を変え、ひどい凶年には使わないとあるのは、民の余力に応じて負担を調整する考えです。働く人の余力を奪えば組織の基盤が弱るという教えは、今の働き方改革や過重労働の問題にも通じます。

この章句が説くこと

農民労役周礼国

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る