呻吟語 / 外篇・治道・惟だ邱民のみ收拾し難し
無事時惟有邱民好蹂踐,自吏卒以上,人人得而魚肉之。有事時惟有邱民難收拾,雖天子亦無躲避處,何況衣冠?此難與誦詩讀書者道也。
新字:無事時惟有邱民好蹂践,自吏卒以上,人人得而魚肉之。有事時惟有邱民難収拾,雖天子亦無躲避処,何況衣冠?此難与誦詩読書者道也。
書き下し
無事の時は惟だ邱民のみ蹂踐し好し。吏卒より以上、人人得て之を魚肉す。有事の時は惟だ邱民のみ收拾し難し。天子と雖も亦た躲避する處無し。何ぞ況んや衣冠をや。此れ詩を誦し書を讀む者と道ひ難きなり。
現代語訳
何事も無い時は、民ばかりが踏みつけやすい。下役から上は、誰もが魚や肉のように扱えます。事がある時は、民ばかりが収拾しにくい。天子でさえ逃げ隠れする場所がありません。まして官服の者ならなおさらです。これは詩を誦し書を読む者とは語りにくい。
解説
民の扱いが、平時と有事で正反対になると示します。平時は誰でも踏みつけられ、有事は天子でも逃げられない。同じ相手なのに、力関係が完全に反転します。そして最後に、詩と書を読む者とは語りにくいと断られます。書物の中の民と、実際の民が違うからでしょう。実務の経験から出た指摘だと示す一句になっています。書物の中の民と、実際の民は違うということでしょう。
この章句が説くこと
民平時有事反転実務
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