導師導古典を学びたいすべての人に

甲陽軍鑑 / 品第十三

しかうして氏康の躰を能く見ルに先ッ靜に心剛にして罰利生明らかに、善にも上中下をたゞして折檻まし〳〵、輕き大將かと思へば重んじ、歌をよみ花奢にして、いかにもいつくるをちくだいなる静峰は其妻易易年來認めの實業経とんな若葉省よし、人をも能くみしり給へばこそ崇敬有人々のどゝ手抦を顯はし、手きずをかうふる若手の衆は氏繩の代より名を取たる老功の人に先はさすまじと仕る、もとより老功の衆若手を譽めたてて何樣ふみとめたる手抦は我々なりと、心に自慢ありとみゆれ共、若き衆をば取立て、又わか手は心につよみを存ずれども一ッも年增を執して中々福島見事聞事成儀言語に及ばず、

新字:しかうして氏康の体を能く見ルに先ッ静に心剛にして罰利生明らかに、善にも上中下をたゞして折檻まし〳〵、軽き大将かと思へば重んじ、歌をよみ花奢にして、いかにもいつくるをちくだいなる静峰は其妻易易年来認めの実業経とんな若葉省よし、人をも能くみしり給へばこそ崇敬有人々のどゝ手抦を顕はし、手きずをかうふる若手の衆は氏縄の代より名を取たる老功の人に先はさすまじと仕る、もとより老功の衆若手を誉めたてて何様ふみとめたる手抦は我々なりと、心に自慢ありとみゆれ共、若き衆をば取立て、又わか手は心につよみを存ずれども一ッも年增を執して中々福島見事聞事成儀言語に及ばず、

書き下し

しかうして氏康の体を能く見ルに先ッ静に心剛にして罰利生明らかに、善にも上中下をたゞして折檻まし〳〵、軽き大将かと思へば重んじ、歌をよみ花奢にして、いかにもいつくるをちくだいなる静峰は其妻易易年来認めの実業経とんな若葉省よし、人をも能くみしり給へばこそ崇敬有人々のどゝ手抦を顕はし、手きずをかうふる若手の衆は氏縄の代より名を取たる老功の人に先はさすまじと仕る、もとより老功の衆若手を誉めたてて何様ふみとめたる手抦は我々なりと、心に自慢ありとみゆれ共、若き衆をば取立て、又わか手は心につよみを存ずれども一ッも年增を執して中々福島見事聞事成儀言語に及ばず、

現代語訳

そして氏康の様子をよく見ると、まず静かで心は剛で、賞罰が明らかであり、善にも上中下を正して折檻され、軽い大将かと思えば重んじ、歌を詠み、花奢であって、(底本ここ判読しがたい)人をもよく見知っておられるからこそ、崇敬されている人々は度々手柄を表し、手傷を負う若手の衆は、氏縄の代から名を取った老功の人に先はさせまいとする。もとより老功の衆は若手を褒めたてて、どのように踏みとどまった手柄は我々だと心に自慢があると見えるけれども、若い衆を取り立て、また若手は心に強みを持っていても一つとして年長を立てるので、なかなか見事、聞き事であることは言葉に及ばない。

解説

本間と井又の目に映った氏康の家中である。大将は静かで剛、賞罰が明らかで、人をよく見知っている。そのため若手は老功に負けまいと働き、老功は内心の自負を抑えて若手を褒めて取り立て、若手もまた年長を立てる。世代間の競い合いと敬意が両立している。上に立つ者の人を見る目が、世代をつなぐ空気を作るのである。若い大将のもとでこれが実現していた点に、北条の強さがあった。

この章句が説くこと

大将賞罰若手老功人材家中

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る