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講孟余話 / 離婁上 第二十六章

且娶ラスンハ舜ハ誠ニ後ナカルヘシ、然トモ弟象ニシテ後アラハ瞽瞍ノ血統ヲ絕ツニ至ラス、喩ヘハ大伯仲雍周ヲ去ルト雖トモ、弟李歷アルヲ以テ大王ノ血統ハ絕サルカ如シ、故ニ余謂ラク舜實ニ此事ナクシテ孟子此論ヲ發セハ聖人ヲ誣ユルト云ヘシ、舜實ニ此事アリテ孟子此論ヲ發セハ聖人ニ阿ルト云ヘシ

新字:且娶ラスンハ舜ハ誠ニ後ナカルヘシ、然トモ弟象ニシテ後アラハ瞽瞍ノ血統ヲ絶ツニ至ラス、喩ヘハ大伯仲雍周ヲ去ルト雖トモ、弟李歴アルヲ以テ大王ノ血統ハ絶サルカ如シ、故ニ余謂ラク舜実ニ此事ナクシテ孟子此論ヲ発セハ聖人ヲ誣ユルト云ヘシ、舜実ニ此事アリテ孟子此論ヲ発セハ聖人ニ阿ルト云ヘシ

書き下し

且つ娶らずんば舜は誠に後なかるべし。然れども弟象にして後あらば、瞽瞍の血統を絶つに至らず。喩へば大伯・仲雍周を去ると雖も、弟季歴あるを以て大王の血統は絶えざるが如し。故に余謂へらく、舜実に此の事なくして孟子此の論を発せば聖人を誣ゆると云ふべし。舜実に此の事ありて孟子此の論を発せば聖人に阿ると云ふべし。

現代語訳

しかも娶らなければ、舜にはたしかに跡継ぎがなかっただろう。けれども弟の象に跡継ぎがあれば、父瞽瞍の血筋が絶えることにはならない。たとえば大伯と仲雍が周を去っても、弟の季歴がいたので古公亶父(大王)の血筋は絶えなかったのと同じである。だから私はこう考える。舜に本当にこのことがなかったのに孟子がこの議論をしたのなら、聖人を偽って貶めたことになる。舜に本当にこのことがあって孟子がこの議論をしたのなら、聖人におもねったことになる。

解説

結びで松陰は、跡継ぎの問題は弟の象がいれば解決していたと指摘します。周の大伯・仲雍が弟の季歴に家を譲って去っても、大王の血統は絶えなかったという例を挙げています。そのうえで、この話が事実でないなら孟子は聖人を誣いたことになり、事実なら聖人に阿ったことになる、と二者択一で孟子を追い詰めます。獄中で孟子を講じる身でありながら、孟子その人にも遠慮しない。権威を敬うことと、無条件に従うことは違う、という松陰の態度がよく表れた結論です。

この章句が説くこと

批判権威孝血統論証

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