講孟余話 / 離婁上 第二章
而シテ後世公道日々廃シ事々私意ニ出ツ、謚法先ツ廃シ史法又廃ス、有志ノ士ヲシテ慨然堪サラシム、今此弊ヲ挽回セント欲スルモ、臣子ニ在テ議シ難キ者アリ、苟モ英主起テ三王周公ノ心ヲ存シ、先ツ謚法ヲ復シ又史法ヲ復シ、務テ公道ヲ扶セハ、何事カ是ニ尙ヘン、嗚呼公道ノ廃スル、名教漸絕シ人心晦盲スルニ至ル、豈懼レサランヤ
新字:而シテ後世公道日々廃シ事々私意ニ出ツ、謚法先ツ廃シ史法又廃ス、有志ノ士ヲシテ慨然堪サラシム、今此弊ヲ挽回セント欲スルモ、臣子ニ在テ議シ難キ者アリ、苟モ英主起テ三王周公ノ心ヲ存シ、先ツ謚法ヲ復シ又史法ヲ復シ、務テ公道ヲ扶セハ、何事カ是ニ尚ヘン、嗚呼公道ノ廃スル、名教漸絶シ人心晦盲スルニ至ル、豈懼レサランヤ
書き下し
而して後世公道日々に廃し、事々私意に出づ。諡法先づ廃し、史法又廃す。有志の士をして慨然堪へざらしむ。今此の弊を挽回せんと欲するも、臣子に在りて議し難き者あり。苟も英主起ちて三王・周公の心を存し、先づ諡法を復し又史法を復し、務めて公道を扶けば、何事か是れに尚へん。嗚呼、公道の廃する、名教漸く絶え人心晦盲するに至る。豈に懼れざらんや。
現代語訳
ところが後世、公の道理は日に日にすたれ、何事も私心から出るようになった。諡の法がまずすたれ、記録の法もまたすたれた。志ある者は嘆かずにはいられない。いまこの弊害を立て直そうとしても、臣下の立場では論じにくいことがある。もし優れた君主が現れて三王と周公の心を持ち、まず諡の法を復活させ、記録の法も復活させて、努めて公の道理を支えるなら、これにまさることはない。ああ、公の道理がすたれれば、人の道の教えもしだいに絶え、人の心は暗く迷うに至る。恐れないでいられようか。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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史記 循吏列伝楚の民の俗庳車を好む、王以為へらく庳車は馬に便ならずと、令を下して之を高くせしめんと欲す。相曰く、「令数々下れば、民従ふ所を知らず、不可なり。王必ず車を高くせんと欲せば、臣請ふ閭里に教へて其の梱を高くせしめん。車に乗る者は皆君子なり、君子は数々車を下ること能はず」と。王之を許す。居ること半歳にして、民悉く自ら其の車を高くす。此れ教へずして民其の化に従ひ、近き者は視て之に效ひ、遠き者は四面より望みて之に法るなり。
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孟子・離婁章句上孟子曰く、「離婁の明、公輸子の巧も、規矩を以てせざれば、方員を成すこと能わず。師曠の聰も、六律を以てせざれば、五音を正すこと能わず。堯舜の道も、仁政を以てせざれば、天下を平治すること能わず。今、仁心仁聞有りて、而も民其の澤を被らず、後世に法る可からざる者は、先王の道を行わざればなり。故に曰く、『徒善は以て政を為すに足らず、徒法は以て自ら行わるること能わず。』詩に云う、『愆らず忘れず、舊章に率い由る。』先王の法に遵いて過つ者は、未だ之れ有らざるなり。聖人既に目の力を竭くし、之に繼に規矩準繩を以てす。以て方員平直を為すこと、用うるに勝う可からざるなり。既に耳力を竭くし、之に繼ぐに六律を以てす。五音を正すこと、用うるに勝う可からざるなり。既に心思を竭くし、之に繼ぐに人に忍びざるの政をを以てす。而うして仁天下を覆う。故に曰く、『高きを為すには、必ず丘陵に因り、下きを為すには、必ず川澤に因る。』政を為すに、先王の道に因らずんば、智と謂う可けんや。是を以て惟だ仁者のみ宜しく高位に在るべし。不仁にして高位に在るは、是れ其の惡を衆に播するなり。上に道揆無く、下に法守無く、朝は道を信ぜず、工は度を信ぜず、君子は義を犯し、小人は刑を犯して、國の存する所の者は幸いなり。故に曰く、『城郭完からず、兵甲多からざるは、國の災いに非ざるなり。田野辟けず、貨財聚まらざるは、國の害に非ざるなり。』上、禮無く、下、學無ければ、賊民興り、喪ぶること日無けん。詩に曰く、『天の方に蹶(くつがえす)えさんとする、然く泄泄すること無かれ。』泄泄とは、猶ほ沓沓のごときなり。君に事えて義無く、進退禮無く、言えば則ち先王の道を非る者は、猶ほ沓沓のごときなり。故に曰く、『難きを君に責む、之を恭と謂う。善を陳べ邪を閉づる、之を敬と謂う。吾が君能わずとす、之を賊と謂う。』」
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