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講孟余話 / 滕文公下 第四章

非食志也、食功也、此章ノ論此二句ニアリ、而シテ食功ノ二字ニ帰ス、其論明白、復タ弁ヲ待タス、唯君ノ臣ヲ養ヒ、民ノ上ニ奉スル、旣ニ皆功ニ食スル爲ナレハ、是ニ酬ユル者將タ如何スヘキ、日々三度ノ箸ヲ把ル每ニ、此食ノ徒食スヘカラサルヲ思ヒ、又衣服ニ付テモ居處ニ付テモ噐用ニ付テモ、皆此物徒ニ着ルヘカラス、徒ニ居ルヘカラス、徒ニ用ユヘカラサルヲ思ハ豈放僻邪侈ノ念ヲ生センヤ、

新字:非食志也、食功也、此章ノ論此二句ニアリ、而シテ食功ノ二字ニ帰ス、其論明白、復タ弁ヲ待タス、唯君ノ臣ヲ養ヒ、民ノ上ニ奉スル、既ニ皆功ニ食スル為ナレハ、是ニ酬ユル者将タ如何スヘキ、日々三度ノ箸ヲ把ル毎ニ、此食ノ徒食スヘカラサルヲ思ヒ、又衣服ニ付テモ居処ニ付テモ噐用ニ付テモ、皆此物徒ニ着ルヘカラス、徒ニ居ルヘカラス、徒ニ用ユヘカラサルヲ思ハ豈放僻邪侈ノ念ヲ生センヤ、

書き下し

「志を食ましむるに非ず、功を食ましむるなり」。此の章の論此の二句にあり、而して食功の二字に帰す。其の論明白、復た弁を待たず。唯だ君の臣を養ひ、民の上に奉ずる、既に皆功に食ましむる為めなれば、是れに酬ゆる者将た如何すべき。日々三度の箸を把る毎に、此の食の徒食すべからざるを思ひ、又衣服に付きても居処に付きても器用に付きても、皆此の物徒らに着るべからず、徒らに居るべからず、徒らに用ふべからざるを思はば、豈放辟邪侈の念を生ぜんや。

現代語訳

「その志に対して食を与えるのではない。その働きに対して食を与えるのだ」。この章の論はこの二句にあり、さらに「功に食ます」の二字に帰着する。論は明白で、これ以上説明はいらない。ただ、主君が家臣を養い、民が上に立つ者に物を奉るのは、すべてその働きに対して食べさせるためなのだから、それに報いる側はいったいどうすべきか。毎日三度箸を取るたびに、この食事は何もせずに食べてよいものではないと思い、衣服についても住まいについても道具についても、どれも何もせずに着てはならない、住んではならない、使ってはならないと思うならば、どうして勝手気ままな贅沢の心が起ころうか。

解説

弟子の彭更は、孟子が何もせずに諸侯から食を受けるのはおかしいと問いました。孟子は、大工も道を説く者も、人は志ではなく働きに対して報われるのだと答えます。松陰はこの「功に食ます」を、受け取る側の心得として読み替えます。武士の禄も民が納めたものであり、三度の食事、着る物、住む所、使う道具の一つ一つに見合う働きをしているかを問えと言うのです。藩から禄を受けながら獄にいる自分への戒めでもあったでしょう。給料や報酬を当たり前と思わない感覚は、どの仕事にも通じます。

この章句が説くこと

報酬働き感謝贅沢自戒

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