国語 / 越語下
又一年,王召范蠡而問焉,曰:「吾與子謀吳,子曰:『未可也』。今申胥驟諫其王,王怒而殺之,其可乎?」對曰:「逆節萌生。天地未形,而先為之征,其事是以不成,雜受其刑。王姑待之。」王曰:「諾。」
新字:又一年,王召范蠡而問焉,曰:「吾与子謀呉,子曰:『未可也』。今申胥驟諫其王,王怒而殺之,其可乎?」対曰:「逆節萌生。天地未形,而先為之征,其事是以不成,雑受其刑。王姑待之。」王曰:「諾。」
書き下し
又一年、王范蠡を召して問いて曰く、「吾子と呉を謀るに、子曰く、『未だ可ならざるなり』と。今申胥驟(しばしば)其の王を諫め、王怒りて之を殺す。其れ可ならんか」と。対えて曰く、「逆節萌生す。天地未だ形(あら)われずして、先ず之が征を為さば、其の事是を以て成らず、雑(とも)に其の刑を受けん。王姑く之を待て」と。王曰く、「諾」と。
現代語訳
また一年たって、王は范蠡を呼んで尋ねた。「わたしがあなたと呉のことを謀ったとき、あなたは『まだなりません』と言った。いま申胥(伍子胥)がたびたび呉王を諫めたので、王は怒って彼を殺してしまった。もうよいだろうか」。范蠡は答えた。「忠臣を殺すという道に逆らう兆しが、呉に芽生えはじめました。しかし天地の占いにはまだ兆しが現れていません。そのうちに先に攻めかかれば、事は成就せず、呉とともにわれらも害を受けることになりましょう。王よ、いましばらくお待ちください」。王は「わかった」と言った。
解説
三度目の問答で、今度は呉王夫差が伍子胥(申胥)を殺したことが問われる。韋昭注はこれを魯の哀公十一年のこととし、子胥が子を斉の鮑氏に託したことを聞いた夫差が、属鏤の剣を与えて死なせたと注する。忠臣を失った呉は、まさに崩れる兆しを見せた。それでも范蠡は、それは「逆節」が芽生えたにすぎず、天地の占いにまだ形が現れないうちに攻めれば、事は成らず、呉とともに越も害を受けると答える。韋昭注は「雑」を「倶」、すなわち共にの意と読み、「刑」を害と読む。相手の失策に飛びつけば、自分もその混乱に巻き込まれるという警告である。相手の自滅の兆しは好機に見えるが、兆しと結果の間にはまだ時間がある。敵失をすぐ自分の得点と数えない慎重さが、最後に勝ちを確かなものにする。
この章句が説くこと
国語越語逆節時慎重
関連する章句
-
易経・節卦戸庭を出でずとは、通塞を知ればなり。門庭を出でず、凶とは、時を失ふこと極まるなり。節せざるの嗟は、又誰をか咎めん。節に安んずるの亨は、上の道を承くればなり。節を甘んずるの吉は、位に居りて中なればなり。苦節は貞なれども凶とは、其の道窮まるなり。
-
易経・既濟卦其の輪を曳くとは、義として咎无きなり。七日にして得んとは、中道を以てなり。三年にして之に克つとは、憊(つか)るるなり。終日戒むとは、疑ふ所有るなり。東隣の牛を殺すは、西隣の時なるに如かざるなり。実に其の福を受くとは、吉大いに来るなり。其の首を濡らす厲ふしとは、何ぞ久しかるべけんや。
-
易経・乾卦周易 第一卦。乾下乾上。易経。乾は、元いに亨る。貞しきに利ろし。初九、潜竜なり、用うる勿かれ。九二、見竜田に在り、大人を見るに利ろし。九三、君子終日乾乾し、夕べに惕若たり。厲けれども咎无し。九四、或いは躍りて淵に在り、咎无し。九五、飛竜天に在り、大人を見るに利ろし。上九、亢竜悔い有り。用九、群竜首无きを見る、吉。彖に曰く、
-
呂氏春秋・首時①聖人の事に於ける、緩なるに似て急に、遲きに似て速かに、以て時を待つ。王季歷困しみて死す。文王之を苦しみ、有た羑里の醜を忘れざれども、時未だ可ならざるなり。武王之に事え、夙夜懈らざりしも、亦た玉門の辱を忘れず。立ちて十二年にして、甲子の事を成せり。時は固に得易からざるなり。太公望は東夷の士なり。一世を定めんと欲すれども其の主無し。文王の賢なるを聞き、故らに渭に釣りして以て之を觀る。
-
易経・晉卦周易 第三十五卦。坤下離上。易経。晋は、康侯用(も)つて馬を錫(たま)はること蕃庶(はんしょ)、昼日に三たび接す。初六、晋如(しんじょ)たり、摧如(さいじょ)たり、貞にして吉。孚(まこと)とせらるること罔(な)きも、裕(ゆたか)にすれば咎无し。六二、晋如たり、愁如たり、貞にして吉。茲(こ)の介福を其の王母に受く。六三、衆允(まこと)とす、悔亡ぶ。九四、晋如たる鼫鼠(せきそ)、貞なれども厲(あや)ふし。六五、悔亡ぶ、失得恤(うれ)ふる勿かれ、往けば吉にして利あらざる无し。上九、其の角に晋む、維(こ)れ用て邑を伐つ、厲ふけれども吉にして咎无し、貞なれども吝(りん)。彖に曰く、
-
『正法眼蔵随聞記』巻四必ず須からくこれ琢磨し練磨すべし、自ら卑下して学道をゆるくすることなかれ、古人の云く、光陰空くわたることなかれと、今問ふ、時光は惜むによりてとゞまるか、惜めどもとゞまらざるか、すべからくしるべし、時光は空くわたらず、人は空くわたることを、人も時光とおなじくいたづらに過すことなく、切に学道せよと云ふなり、かくのごとく参究を同心にすべし、我れ独り挙揚するも、容易にするにあらざれども、仏祖行道の儀、大綱みなかくの如くなり、如来の開示に随ひて得道するもの多けれども、亦阿難によりて悟道する人もありき、新首座非器なりと卑下することなかれ、洞山の麻三斤を挙揚して同衆に示すへしと云て、座を下て後ち、再び鼓を鳴らして、首座秉払す、是れ興聖最初の秉払なり、懐奘三十九の歳なり、
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る