淇園答要抄録 / 士を試る事・合語の試みで士を取り立てる法
前書に申進候士を試み候には如何樣の事を以て試み申べきや其譯を申進じ候樣被仰越候て承り候、此には合語と申もの御座候、禮記文王世子の篇に凡祭與養老乞言合語之禮、皆小樂正詔之於東序と有之候、又凡語于郊者必取賢斂才焉或以德進或以事擧或以言揚曲藝皆誓之以待又語三而一有焉乃進其等以其序謂之郊人遠之於成均及取爵於上尊也と有之候、是はその合語を申付候ては小樂正之職の者其日限をば其試みて合語をさすべき人數をよせて申聞置事也、扨郊の學にて合語さするに是非に其語に寄て賢れたるものを取才あるを勸めて引あげを申させる事にする事なるが、其語の品々或は德の事に明らかなるを以て進ませるもあり、或は事の取扱ひ方をよくすべきを以て擧るもあり、或は言語の言かたのよきを以て揚るもある事にて達下の類の曲藝までも此合語の試みある事也、何れも皆其試み候ての後の黜陟に違亂有まじき樣子を誓はせて又語るを待しめて、扨又以前の語を今一應正して見るに右の三科の內にて一つにてもあたる事あらば、其位を進むるに其次第を以てして、是をば郊人と名付け、國學に入れて天子の爲に爵を上尊に取る事を得せしむるといふ計り也、試るの法大略これに法ありての立かた有べき事に存じ候事に御座候、いづれにても此合語にて取上り候法あれば、學文は自然精を入て其用に立やうになすことに成るべき事これまた心得と存候事に御座候、
新字:前書に申進候士を試み候には如何様の事を以て試み申べきや其訳を申進じ候様被仰越候て承り候、此には合語と申もの御座候、礼記文王世子の篇に凡祭与養老乞言合語之礼、皆小楽正詔之於東序と有之候、又凡語于郊者必取賢斂才焉或以徳進或以事挙或以言揚曲芸皆誓之以待又語三而一有焉乃進其等以其序謂之郊人遠之於成均及取爵於上尊也と有之候、是はその合語を申付候ては小楽正之職の者其日限をば其試みて合語をさすべき人数をよせて申聞置事也、扨郊の学にて合語さするに是非に其語に寄て賢れたるものを取才あるを勧めて引あげを申させる事にする事なるが、其語の品々或は徳の事に明らかなるを以て進ませるもあり、或は事の取扱ひ方をよくすべきを以て挙るもあり、或は言語の言かたのよきを以て揚るもある事にて達下の類の曲芸までも此合語の試みある事也、何れも皆其試み候ての後の黜陟に違乱有まじき様子を誓はせて又語るを待しめて、扨又以前の語を今一応正して見るに右の三科の内にて一つにてもあたる事あらば、其位を進むるに其次第を以てして、是をば郊人と名付け、国学に入れて天子の為に爵を上尊に取る事を得せしむるといふ計り也、試るの法大略これに法ありての立かた有べき事に存じ候事に御座候、いづれにても此合語にて取上り候法あれば、学文は自然精を入て其用に立やうになすことに成るべき事これまた心得と存候事に御座候、
書き下し
前書に申進候士を試み候には如何樣の事を以て試み申べきや其譯を申進じ候樣被仰越候て承り候、此には合語と申もの御座候、禮記文王世子の篇に凡祭與養老乞言合語之禮、皆小樂正詔之於東序と有之候、又凡語于郊者必取賢斂才焉或以德進或以事擧或以言揚曲藝皆誓之以待又語三而一有焉乃進其等以其序謂之郊人遠之於成均及取爵於上尊也と有之候、是はその合語を申付候ては小樂正之職の者其日限をば其試みて合語をさすべき人數をよせて申聞置事也、扨郊の學にて合語さするに是非に其語に寄て賢れたるものを取才あるを勸めて引あげを申させる事にする事なるが、其語の品々或は德の事に明らかなるを以て進ませるもあり、或は事の取扱ひ方をよくすべきを以て擧るもあり、或は言語の言かたのよきを以て揚るもある事にて達下の類の曲藝までも此合語の試みある事也、何れも皆其試み候ての後の黜陟に違亂有まじき樣子を誓はせて又語るを待しめて、扨又以前の語を今一應正して見るに右の三科の內にて一つにてもあたる事あらば、其位を進むるに其次第を以てして、是をば郊人と名付け、國學に入れて天子の爲に爵を上尊に取る事を得せしむるといふ計り也、試るの法大略これに法ありての立かた有べき事に存じ候事に御座候、いづれにても此合語にて取上り候法あれば、學文は自然精を入て其用に立やうになすことに成るべき事これまた心得と存候事に御座候、
現代語訳
先の書簡で申し上げた、士を試みるにはどのような方法で試すのがよいか、その理由を述べよとのお尋ねを承りました。これには「合語」というものがございます。『礼記』文王世子の篇に、「そもそも祭りと養老、乞言と合語の礼は、みな小楽正が東序(学舎)でこれを命じる」とあります。また、「そもそも郊(地方の学)で語る者は、必ず賢い者を選び才ある者を集める。徳によって進む者もあり、事によって挙げられる者もあり、言によって揚げられる者もあり、曲芸(一芸)の者まで、みなこれに誓わせて待たせる。さらに語ること三度で、一つでも当たる者があれば、その等級を進め、その順序に従う。これを郊人といい、成均(国学)に遠ざけ入れて、上尊(上位の酒器)から爵を取る席に就かせる」ともございます。これは、合語を申し付けるには、小楽正の職の者が、その期日と、試みて合語をさせるべき人数とを集めて申し聞かせておくことです。さて郊の学で合語をさせる際には、必ずその語によって賢い者を取り、才ある者を励まして引き上げさせることとします。その語の種類は、徳のことに明らかな点で進ませる場合もあり、事の取り扱い方がよい点で挙げる場合もあり、言葉遣いがよい点で揚げる場合もあって、達下(下の者)の類の一芸までもこの合語の試みがあるということです。いずれも、試みた後の降格昇進に間違いがないことを誓わせ、また語るのを待たせ、さらに以前の語をもう一度正してみて、右の三つの科目のうち一つでも当たることがあれば、その位を進めるのに順序を踏み、これを郊人と名づけて国学に入れ、天子のために上尊から爵を取ることができるようにする、というだけのことです。試みの法は、おおよそこれに基づいて立てるのがよいと存じます。いずれにせよ、この合語で取り上げる法があれば、学問は自然と精を入れて役に立つようになるはずで、これも心得と存じます。
解説
この章句が説くこと
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尉繚子・兵教上民をして国門の限を背にし、死生の分を決せしめ、之に死して疑はざるを教ふる者は、以有るなり。守る者をして必ず固く、戦ふ者をして必ず闘ひ、奸謀作らず、姦民語らず、令行はれて変無く、兵行はれて猜無く、軽き者は霆の若く、敵に奮ふこと驚くが若くせしむ。功を挙げ徳を別つこと、明らかなること白黒の如く、
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