剣徴 / 跋・此書の益
昔吾少年從先生而學者數年。而性愚鈍。於所謂武技十八般者。莫一所得焉。特受此書。熟續玩味。朝夕不措也。後在吏務局三十有餘年。未嘗有狐疑狼顧而失其機者。蓋有得於此書也。則此書之有益於人。豈唯劍客武夫而已哉。今玆出嘗與豚兒所校正者。以活板刷之。以分同志。因略書其所由云爾。
新字:昔吾少年従先生而学者数年。而性愚鈍。於所謂武技十八般者。莫一所得焉。特受此書。熟続玩味。朝夕不措也。後在吏務局三十有余年。未嘗有狐疑狼顧而失其機者。蓋有得於此書也。則此書之有益於人。豈唯剣客武夫而已哉。今玆出嘗与豚児所校正者。以活板刷之。以分同志。因略書其所由云爾。
書き下し
昔、吾少年にして先生に従ひて学ぶこと数年。而して性愚鈍なり。所謂武技十八般なる者に於いて、一所の得る莫し。特に此書を受け、熟読玩味して、朝夕措かざるなり。後、吏務局に在ること三十有餘年、未だ嘗て狐疑狼顧して其の機を失ふ者有らず。蓋し此書に得る有るなり。則ち此書の人に益有る、豈に唯だ剣客武夫のみならんや。今茲に嘗て豚児と校正せし所の者を出だし、活板を以て之を刷り、以て同志に分かつ。因りて略ぼ其の由る所を書すと云爾。
現代語訳
昔、私は少年のころ先生に従って学ぶこと数年でした。生まれつき愚鈍で、いわゆる武技十八般についてはひとつも身につけたものがありませんでした。ただこの書を受け取り、熟読して味わい、朝夕離しませんでした。その後、吏務局に三十年あまり勤めましたが、ためらい疑い、振り返って機を失うことは一度もありませんでした。思うに、この書から得たところがあったからでしょう。そうであればこの書が人に益あることは、ただ剣客や武人だけにとどまりません。今ここに、以前に息子とともに校正したものを出し、活版で刷って同志に分けます。そこでその由来を簡単に書きました。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『剣徴』・自序・古書に徴す平子龍、司馬政官の学を為む者なり。一剣の任は将の事に非ざるなり。何を以て剣を為むること然るや。将は士卒と寒暑饑飽労逸を同じくす。則ち技芸を論ずる者も亦我が家の事のみ。而して剣に至りて独り何ぞ怪しまんや。余往者剣説一篇を作る。然れども其の徴無きを以て、未だ人に信を取るに足らざるを恐るるなり。是に於いて、竊かに古書中を探り、徴するに足る者を取りて、剣徴一巻を著し、以て子弟に示す。苟くも学ぶ者二書を玩索して、之を事為に試み、独り出で独り入るの義を得ること有らば、則ち初めて古人我を欺かずと知らんと云爾。
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『剣徴』・凡例・取る説と捨てる説一、古書中の剣を論ずる者、此に止まらず。然れども其の説、往々高奇にして、学者に益無きなり。故に択びて之を取る。見る者疑ふ勿れ。一、原説は剣を論ずるに非ずと雖も、用て以て徴するに足る者有れば、搜羅して之を挙ぐ。亦詩を取る者の、辞を以て志を害せざるの義なり。一、古書中同説互ひに出づる者有り。之を解義の末に附し、以て学者の博考に便す。一、呉越春秋・越女・列仙伝・剣仙の類、事の奇怪に渉る者は、排擯して取らず。見る者察せよ。一、武編の載する所、朝鮮剣術歌訣、剣大献剣経の説は、皆高奇精妙に在り。故に之を取らず。唯だ実用の工夫を要するのみ。
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『兵術要訓抄録』・安達自保の跋此の諺文の兵術冊は、友人安達自保氏の手録する所なり。其の劔術を発明すること、族を批き虚を投じ、殆ど将に神境に入らんとす。虎鈴の秘録と謂ふべし。其の内外の魔障を論ずるが若きに至りては、則ち言は俗に混じ異を雑ふと雖も、省察克己の要に於いては、切にして亦将に吾が儒と相発するに足る者有らんとす。斯れ嘉尚せざるべけんや。
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『兵要録抄録』・校刻兵要録の跋澹齋先生の兵要錄一書は、文武を以て一途と爲し、王を尊び覇を賤しむ。其の言は江河の源委有るが如く、下に臨み衆を御し、法度森嚴なること、霽月の寒空に繫かるが如し。其の間藹然として春風の面目に披拂入るなり。豈に特だ兵の云ふのみならんや。然り而して謄寫已に廣く、脫誤眇かならず。我が老侯之を憂へ、家翁安元等に命じて校正せしめ、因りて活刷を以て頒つ。今侯厥の志を繼ぎ、版を鏤りて以て天下に公にせんと欲す。臣安利等 命を奉じて再び校讎し、句讀を正し、訓點を施す。意ふに二侯の盛美を奉揚し、先師の典刑を朽ちざらしめんと欲するは、臣の至願なり。
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啓発録・跋以上五目は少年学に入るの門戸とこゝろゑ書聯申候者也。右余厳父の教を受け、常に書史に渉り候処、性質疎直にして柔慢なる故、遂に進学の期なき様に存し、毎夜臥衾中にて涕泗にむせび、何とぞして吾身を立て父母の名を顕し、行々君の御用に相立、祖先の遺烈を世に輝し度と存居候折柄、逐々吾身に解得致し候事とも有之候様覚申すに付、聊書記し後日の遺忘に備ふ。敢て人に示す処にあらず。
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言志四録・言志録 跋 言志録の跋余、学を一斎先生に受くること、年有り。今茲に乏しきを浪華の副鎮に承け、久しく教範に違ふ。因りて此の録を出だし、日に数章を読み、沈潜して之を玩味す。猶ほ之れ面命耳提のごときのみ。凡そ学に志有る者は、皆当に其の趣向を正すべし。況んや邦を有ち土を為むる者に於てをや。吾世の好学と号称する者を観るに、或いは虚文に馳せて実得無く、或いは功利に流れて正路を失ふ。其の家国に於けるや、果して何の益かあらん。豈に学其の方に乖くを以てに非ずや。此の録は悉く先生の自得する所より出づ。正に以て人をして其の趣向を正して帰宿する所を得しむるに足る。余敢へて自ら私せず。特に之を校刻して、諸を世の志有る者に貽り、焉を共にす。甲申春仲月下浣、浪華城山里の廨舎に書す。源綱條。

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