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兵要録抄録 / 校刻兵要録の跋

澹齋先生兵要錄一書。以文武爲一途。尊王賤覇。其言如江河之有源委。臨下御衆。法度森嚴。如霽月之繫寒空。其間藹然春風。披拂入面目也。豈特兵之云而已哉。然而謄寫已廣。脫誤匪眇。我老侯憂之 命家翁安元等校正。因活刷以頒焉。今侯繼厥志。欲鏤版以公於天下。臣安利等奉 命再校讎。正句讀。施訓點。意欲奉揚二侯之盛美。不朽先師之典刑。臣之至願也。

新字:澹斎先生兵要録一書。以文武為一途。尊王賤覇。其言如江河之有源委。臨下御衆。法度森厳。如霽月之繋寒空。其間藹然春風。披払入面目也。豈特兵之云而已哉。然而謄写已広。脱誤匪眇。我老侯憂之 命家翁安元等校正。因活刷以頒焉。今侯継厥志。欲鏤版以公於天下。臣安利等奉 命再校讎。正句読。施訓点。意欲奉揚二侯之盛美。不朽先師之典刑。臣之至願也。

書き下し

澹齋先生の兵要錄一書は、文武を以て一途と爲し、王を尊び覇を賤しむ。其の言は江河の源委有るが如く、下に臨み衆を御し、法度森嚴なること、霽月の寒空に繫かるが如し。其の間藹然として春風の面目に披拂入るなり。豈に特だ兵の云ふのみならんや。然り而して謄寫已に廣く、脫誤眇かならず。我が老侯之を憂へ、家翁安元等に命じて校正せしめ、因りて活刷を以て頒つ。今侯厥の志を繼ぎ、版を鏤りて以て天下に公にせんと欲す。臣安利等 命を奉じて再び校讎し、句讀を正し、訓點を施す。意ふに二侯の盛美を奉揚し、先師の典刑を朽ちざらしめんと欲するは、臣の至願なり。

現代語訳

澹斎先生の『兵要録』という一書は、文と武をひとつの道とし、王道を尊び覇道を賤しみます。その言葉は大河に源と流れがあるように筋が通り、下に臨み衆を御するときの法度は厳かで、晴れた月が冷たい空にかかるようです。その間には、温和な春風が顔に吹き入るような趣があります。ただ兵法を語るだけのものではありません。ところが写本はすでに広く出回り、脱落や誤りも少なくありません。わが老侯はこれを憂え、家臣の安元らに命じて校正させ、活字で刷って頒布されました。いまの侯はその志を継ぎ、版木を彫って天下に公にしようとしています。臣の安利らは命を受けて再び校合し、句読を正し、訓点を施しました。二人の侯の盛んな美事をたたえて広め、先師の模範を朽ちさせないようにしたい、というのが臣の何よりの願いです。

解説

『兵要録』の校刻にあたって記された跋文で、書の特色と刊行の経緯が述べられます。文武を一つの道とし王道を尊ぶという評は、本書の全体像を端的に示します。写本が広まるほど誤りが増えるため、藩主が二代にわたり校正と刊行に努めたことも分かります。現代の組織でも、理念や知見は伝わる過程で劣化します。大切な教えを手順書や社史として整え、誤りを正して次世代に残す作業は地味ですが、組織の継承力を決める仕事です。誰が受け継ぎ誰が校正するかを決めておくことが肝心です。

この章句が説くこと

兵要録校刻跋継承校正長沼澹斎

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