剣徴 / 自序・古書に徴す
平子龍。爲司馬政官之學者也。一劍之任非將事也。何以劍爲然。將與士卒同寒暑饑飽勞逸。則論技藝者亦我家事耳。而至於劍獨何怪乎。余往者作劍說一篇。然恐以無其徵故未足取信於人也。於是乎。竊探古書中。取足徵者。而著劍徵一卷。以示於子弟。苟學者玩索二書。而試之於事爲。有得於獨出獨入之義。則初知古人不欺我云爾。
新字:平子竜。為司馬政官之学者也。一剣之任非将事也。何以剣為然。将与士卒同寒暑饑飽労逸。則論技芸者亦我家事耳。而至於剣独何怪乎。余往者作剣説一篇。然恐以無其徴故未足取信於人也。於是乎。窃探古書中。取足徴者。而著剣徴一巻。以示於子弟。苟学者玩索二書。而試之於事為。有得於独出独入之義。則初知古人不欺我云爾。
書き下し
平子龍、司馬政官の学を為む者なり。一剣の任は将の事に非ざるなり。何を以て剣を為むること然るや。将は士卒と寒暑饑飽労逸を同じくす。則ち技芸を論ずる者も亦我が家の事のみ。而して剣に至りて独り何ぞ怪しまんや。余往者剣説一篇を作る。然れども其の徴無きを以て、未だ人に信を取るに足らざるを恐るるなり。是に於いて、竊かに古書中を探り、徴するに足る者を取りて、剣徴一巻を著し、以て子弟に示す。苟くも学ぶ者二書を玩索して、之を事為に試み、独り出で独り入るの義を得ること有らば、則ち初めて古人我を欺かずと知らんと云爾。
現代語訳
平子龍は、司馬(軍政)の学を修める者です。一本の剣を扱う役目は、本来、将の仕事ではありません。それなのになぜ剣を論じるのか。将は兵卒と寒さ暑さ、飢えと満腹、労苦と安逸を共にします。ですから技芸を論じることも、私たちの家の仕事です。それなら剣についてだけ、どうして怪しむことがありましょう。私は以前『剣説』一篇を著しました。しかし裏づけがないので、人に信じてもらうには足りないと恐れました。そこでひそかに古書の中を探り、裏づけとなるものを取って『剣徴』一巻を著し、子弟に示します。学ぶ者が二書をよく味わい、実際の事に試して、独り出で独り入る(自在に進退する)境地の意味をつかめば、初めて古人は私を欺かなかったと知るでしょう。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『文武訓』武訓下一将たる人、号令明かにしてあやまらず、賞罰信ありてちがはず、士卒と苦楽を同じくし、われひとり楽まず、寒暑をも士卒と同じくし、士卒をいたはりてくるしめず。かくの如くすれば、士卒上におもひ附きて、死力をつくす。
-
『長短経』量才太公曰く「多言多語、悪口悪舌、終日悪を言い、寝臥絶えず、衆の憎む所と為り、人の疾む所と為る。此れ閭巷を要遮し、姦を察し禍を伺わしむ可し。権数事を好み、夜臥し早く起き、劇しと雖も悔いず。此れ妻子の将なり。先に語りて事を察し、権勧して食を与え、実は長にして言を希にし、財物平均なり。此れ十人の将なり。忉忉截截、意を垂れて粛粛たり、諫言を用いず、数しば刑戮を行い、刑すれば必ず血を見、親戚を避けず。此れ百人の将なり。訟弁して勝つを好み、嫉賊侵陵し、人を斤るに刑を以てし、一衆を整えんと欲す。此れ千人の将なり。外貌怍怍として、言語時に出で、人の飢飽を知り、人の劇易に習う。此れ万人の将なり。戦戦慄慄、日に一日を慎み、賢に近づき謀を進め、人をして節を知らしめ、言語慢らず、忠心誠に畢る。此れ十万人の将なり。
-
孫子・九地篇将軍の事は、静にして以て幽く、正にして以て治まる。
-
孫子・謀攻篇夫れ将は国の輔なり。輔周なれば則ち国必ず強く、輔隙あれば則ち国必ず弱し。
-
『文武訓』武訓上一将をえらぶには、智を先とし勇を後とす。智なければ、勇ありても謀なく、思案なくして兵の道にくらし。勇あるをたのんで過多し。かくのごとくなる将はやぶれやすし。良将にあらず。良将は智ふかく、又勇もありて、敵をはかり身方をかへりみ、事に臨んでおそれ、謀を好んで事をなす。故に敗れがたし。
-
孫子・作戦篇故に兵は勝つを貴び、久しきを貴ばず。故に兵を知るの将は、民の司命、国家安危の主なり。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見る