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文武訓 / 武訓上

一將をえらぶには、智を先とし勇を後とす。智なければ、勇ありても謀なく、思案なくして兵の道にくらし。勇あるをたのんで過多し。かくのごとくなる將はやぶれやすし。良將にあらず。良將は智ふかく、又勇もありて、敵をはかり身方をかへりみ、事に臨んでおそれ、謀を好んで事をなす。故に敗れがたし。

新字:一将をえらぶには、智を先とし勇を後とす。智なければ、勇ありても謀なく、思案なくして兵の道にくらし。勇あるをたのんで過多し。かくのごとくなる将はやぶれやすし。良将にあらず。良将は智ふかく、又勇もありて、敵をはかり身方をかへりみ、事に臨んでおそれ、謀を好んで事をなす。故に敗れがたし。

書き下し

一将をえらぶには、智を先とし勇を後とす。智なければ、勇ありても謀なく、思案なくして兵の道にくらし。勇あるをたのんで過多し。かくのごとくなる将はやぶれやすし。良将にあらず。良将は智ふかく、又勇もありて、敵をはかり身方をかへりみ、事に臨んでおそれ、謀を好んで事をなす。故に敗れがたし。

現代語訳

将を選ぶには、智を先にし勇を後にします。智がなければ、勇があっても謀がなく、思慮がなくて兵の道に暗いのです。勇があることを頼んで誤りが多いのです。このような将は敗れやすく、良将ではありません。良将は智が深く、また勇もあって、敵をはかり味方をかえりみ、事に臨んで恐れ慎み、謀を好んで事を成します。ゆえに敗れにくいのです。

解説

指揮官に必要なのは勇より智だと益軒は言います。勇だけの将は謀がなく、勇を頼んで失敗しやすい。良将は智が深く勇も備え、敵味方をよく見て、事に臨んでは慎重に構えるので負けにくい、というのです。「事に臨んで懼れ、謀を好んで成す」は『論語』述而篇で孔子が子路に語った言葉を踏まえています。リーダーには行動力も必要ですが、まず状況を見極める知恵と慎重さが先に立つべきだという教えは、経営や組織運営にもそのまま当てはまります。

この章句が説くこと

将智勇指導者慎重

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