啓発録 / 振氣
乍去只此氣ノ振立候而已ニテ志立ヌ時ハ折節氷ノ解ケ醉ノサムル如ク後還リ致ス事有之者ニ候故ニ氣一旦振立候ヘバ方ニ志立候事甚大切ナリ
新字:乍去只此気ノ振立候而已ニテ志立ヌ時ハ折節氷ノ解ケ酔ノサムル如ク後還リ致ス事有之者ニ候故ニ気一旦振立候ヘバ方ニ志立候事甚大切ナリ
書き下し
乍去、只此気の振立候而已にて志立ぬ時は、折節氷の解け酔のさむる如く、後還り致す事有之者に候。故に気一旦振立候へば、方に志立候事甚大切なり。
現代語訳
ただし、この気を振るい立たせただけで志が立たないときは、折々、氷が解け酔いが醒めるように、あとで元へ戻ってしまうことがあります。ですから、気をいったん振るい立たせたならば、まさにそのときに志を立てることが、きわめて大切です。
解説
ここは「振気」の章の結びで、気を奮い立たせるだけでは足りないと釘を刺しています。勢いだけの奮起は、氷が解け酔いが醒めるように、時がたてば元に戻るという見立てです。十五歳の左内は、気分の高まりが長続きしないことを、自分のこととして知っていたのでしょう。だからこそ、気が立ったその時に志を定めよと言います。現代の職場でも、研修や面談の直後に高まった意欲が数週間で消えることはよくあります。部下の熱が出た瞬間を逃さず、目標や行動に結びつけて残すことは、管理職の育成実務そのものです。
この章句が説くこと
振気志気持続折節啓発録
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