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啓発録 / 振氣

氣トハ人ニ負ヌ心立アリテ恥辱ノコトヲ無念ニ思フ處ヨリ起ル意氣張ノ事也振トハ折角自分ト心ヲトヾメテ振立振起シ心ノナマリ油斷セヌ樣ニ致ス義ナリ

新字:気トハ人ニ負ヌ心立アリテ恥辱ノコトヲ無念ニ思フ処ヨリ起ル意気張ノ事也振トハ折角自分ト心ヲトヾメテ振立振起シ心ノナマリ油断セヌ様ニ致ス義ナリ

書き下し

気とは人に負ぬ心立ありて、恥辱のことを無念に思ふ処より起る意気張の事也。振とは折角自分と心をとゞめて、振立、振起し、心のなまり油断せぬ様に致す義なり。

現代語訳

気とは、人に負けまいという心構えがあって、恥辱を無念に思うところから起こる意気張りのことです。振うとは、せっかくの自分の心を留めて奮い立たせ、心が鈍ったり油断したりしないようにする意味です。

解説

第二項「振気」の定義の段です。気を、人に負けない心構えと、恥辱を無念に思う気持ちの二つから起こる意気張りだと説明します。振うことは、持っている気を奮い立たせ、鈍らせないことだと続けます。つまり気は新しく作るものではなく、すでにあるものを保ち、起こし続ける手入れの対象だという見方です。負けず嫌いと恥を知る心は、現代では扱いづらい性質と見られがちですが、左内はそれを士の核に置きました。組織でも、悔しさを持てる人は育ちます。その悔しさを油断で鈍らせない工夫こそが、管理職の仕事でもあります。

この章句が説くこと

気意気張り恥辱油断振起啓発録

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