韓非子 / 存韓第二
以秦與趙敵衡,加以齊,今又背韓,而未有以堅荆、魏之心。夫一戰而不勝,則禍搆矣。
新字:以秦与趙敵衡,加以斉,今又背韓,而未有以堅荆、魏之心。夫一戦而不勝,則禍搆矣。
書き下し
秦を以て趙と衡を敵にし、加ふるに斉を以てし、今又韓に背きて、未だ以て荊・魏の心を堅くする有らず。夫れ一戦して勝たざれば、則ち禍搆へん。
現代語訳
秦は趙と力を張り合い、そこに斉も加わっている。いままた韓に背けば、楚(荊)と魏の心をつなぎとめる手立てもない。もし一度戦って勝てなければ、禍いが次々と組み上がってしまうだろう。
解説
秦がすでに趙や斉と対立しているうえに、韓まで敵に回せば、楚や魏をつなぎとめる手立てがなくなり、一度の敗戦で禍いが連鎖すると警告する句です。韓非は、敵を増やすほど一つの失敗が致命傷になるという構造を示し、韓を攻めないよう説いています。存韓篇は、韓の公子である韓非の立場が色濃く出ている篇で、秦の利益を説く体裁をとりながら祖国を守ろうとする意図が読み取れます。組織でも、同時に多方面と対立していると、一つのつまずきが他の対立を一気に悪化させます。敵を増やす判断をする前に、負けたときに何が連鎖するかを考えるべきです。
関連する章句
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『韓非子』存韓第二韓叛けば、則ち魏之に応じ、趙は斉に拠りて以て原と為す。此くの如くんば、則ち韓・魏を以て趙を資け斉を仮りて以て其の従を固くし、而して以て与に強を争わば、趙の福にして秦の禍なり。
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『韓非子』存韓第二夫れ進みて趙を撃ちて取ること能はず、退きて韓を攻めて抜くこと能はざれば、則ち陥鋭の卒は野戦に懃み、負任の旅は内攻に罷れ、則ち群苦弱を合はせて以て敵して二万乗を共にす、韓を亡ぼすの心に非ざる所以なり。均しく貴臣の計の如くんば、則ち秦必ず天下の兵質と為らん。陛下金石と相弊すると雖も、則ち天下を兼ぬるの日未だし。今賤臣の愚計は、人をして荊に使ひせしめ、用事の臣に幣を重くし、趙の秦を欺く所以の者を明らかにし、魏と質して以て其の心を安んじ、韓を従へて趙を伐たば、趙斉と一と為ると雖も、患ふるに足らざるなり。二国の事畢はらば、則ち韓は書を移して以て定むべきなり。是れ我一挙にして二国亡形有り、則ち荊・魏又必ず自ら服せん。故に曰く、「兵は、
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『韓非子』存韓第二韓の秦に事ふること三十余年、出でては則ち扞蔽と為り、入りては則ち蓆薦と為る。秦特だ鋭師を出だして地を取り、韓之に随ひ、怨みは天下に懸かり、功は強秦に帰す。且つ夫れ韓は貢職を入れ、郡県と異なる無きなり。今臣窃かに貴臣の計を聞くに、兵を挙げて将に韓を伐たんとす。夫れ趙氏は士卒を聚め、従徒を養ひ、天下の兵を贅めんと欲し、秦弱からざれば則ち諸侯必ず宗廟を滅ぼさるるを明らかにし、西面して其の意を行はんと欲す、一日の計に非ざるなり。今趙の患を釈きて、内臣の韓を攘はば、則ち天下趙氏の計を明らかにせん。
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『韓非子』存韓第二矣。夫れ韓は秦に臣たりと雖も、未だ嘗て秦の病と為らずんばあらず、今若し卒報の事有らば、韓は信ずべからざるなり。秦趙と難を為し、荊蘇斉に使ひす、未だ何如なるかを知らず。臣を以て之を観れば、則ち斉・趙の交は未だ必ずしも荊蘇を以て絶えざるなり。若し絶えずんば、是れ秦を悉くして二万乗に応ずるなり。
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『韓非子』存韓第二守備を脩め、強敵を戒め、畜積有り、城池を築きて以て守り固む。今韓を伐たば、未だ一年にして滅ぼすべからず、一城を抜きて退かば、則ち権天下に軽く、天下我が兵を摧かん。
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『韓非子』存韓第二趙・秦の強弱は、今年に在るのみ。且つ趙は諸侯と陰謀すること久し。夫れ一たび動きて諸侯に弱きは、危事なり。計を為して諸侯をして我を意ふの心有らしむるは、至殆なり。二疏を見すは、諸侯に強き所以に非ざるなり。臣窃かに願はくは陛下の幸ひに之を熟図せんことを。攻伐して従者をして間せしめば、悔ゆべからざるなり。詔して韓客の上書する所を以て、書に韓子の未だ挙ぐべからざるを言ふを、臣斯に下す。臣斯甚だ以て然らずと為す。