韓非子 / 用人第二十七
以積怒而御積怨,則兩危矣。明主之表易見,故約立;其教易知,故言用;其法易爲,故令行。
新字:以積怒而御積怨,則両危矣。明主之表易見,故約立;其教易知,故言用;其法易為,故令行。
書き下し
明主の表は見易し、故に約立つ。其の教えは知り易し、故に言用いらる。其の法は為し易し、故に令行わる。
現代語訳
優れた君主の示す目印(表)は、分かりやすい(見易し)。だから約束(ビジョン)が成立する。その教え(方針)は、理解しやすい(知り易し)。だから言葉が受け入れられる。その法(ルール)は、実行しやすい(為し易し)。だから命令が実行される。
解説
優れた上に立つ人が示す目印は、誰の目にもはっきり分かるものだから、皆との取り決めがきちんと成り立ちます。その教えや方針も、分かりやすいから、人々の心に届き、受け入れられます。定めた決まりも、実行しやすいものだから、実際に守られていくのです。逆に言えば、複雑で何を言っているのか分からない方針や、とても実行できないような決まりは、どれほど立派な内容でも人には届きません。これは会社の規則だけでなく、家庭でのしつけや、町内会のお願い事にも当てはまります。「何時までに帰ってきなさい」のように誰でもすぐ分かる言い方をすれば子供にも伝わりますが、あいまいで難しい言い方をすれば、誰も守ってくれません。分かりやすさこそが、人を動かす力の土台なのです。
この章句が説くこと
ビジョン明快さ実行可能性ルールの浸透KISSの原則
関連する章句
-
『墨子』兼愛中子墨子曰く、然り、乃ち兼の若きは則ち善し。然りと雖も、天下の難物、故に於てなり。子墨子言いて曰く、天下の士君子、特に其の利を識らず、其の故を辯ぜざるなり。今、夫の城を攻め野に戰い、身を殺して名を為すが若きは、此れ天下の百姓の皆な難しとする所なり。茍くも君、之を説べば、則ち士衆、能く之を為す。况んや兼ねて相い愛し、交ごも相い利するに於てをや。則ち此と異なれり。夫れ人を愛する者は、人も必ず從いて之を愛す。人を利する者は、人も必ず從いて之を利す。人を惡む者は、人も必ず從いて之を惡む。人を害する者は、人も必ず從いて之を害す。此れ何の難きことか之れ有らん。特に上、以て政を為さず、士、以て行を為さざる故なり。
-
『墨子』兼愛中然り而して今、天下の士君子曰く、然り、乃ち兼の若きは則ち善し。然りと雖も、行う可からざるの物なり。譬えば泰山を挈げて河濟を越ゆるが若し、と。子墨子言う、是れ其の譬えに非ざるなり。夫れ泰山を挈げて河濟を越ゆるは、勇健にして力有りと謂う可し。古より今に及ぶまで、未だ能く之を行う者有らざるなり。况んや兼ねて相い愛し、交ごも相い利するに乎いてをや。則ち此と異なれり。古者、聖王、之を行えり。何を以て其の然るを知るや。
-
論語・公冶長篇子曰く、「道行われず、桴に乗りて海に浮かばん。我に従わん者は、其れ由か。」子路之を聞きて喜ぶ。子曰く、「由や、勇を好むこと我に過ぎたり。材を取る所無し。」
-
『韓非子』難言第三関大廣博にして、妙遠測られざれば
-
『韓非子』詭使第四十五聖人の治道を為す所以の者は三つ。一に曰く「利」、二に曰く「威」、三に曰く「名」。夫れ利なる者は、民を得る所以なり。威なる者は、令を行ふ所以なり。名なる者は、上下の同じく道とする所なり。
-
論語・憲問篇子曰く、『士にして居を懐(おも)えば、以て士と為すに足らず。』
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る