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家道訓 / 巻之六・用財下

一人におくり物するは、心を用ふべきことなり。すべてあしき物を贈るは、贈らざるにおとりてはづかし。魚のあざれ、肉のやぶれ、餅餌醬醢などのつくりなせる物、味變じ色あしく臭あしき、又菓など、いまだ熟せざる物の、時ならずして人に害あるもの、皆人に贈るべからず。贈物によりて人の心のうすきあつきあらはる。下部に任せてはうしろめたし。みづからえらぶべし。

新字:一人におくり物するは、心を用ふべきことなり。すべてあしき物を贈るは、贈らざるにおとりてはづかし。魚のあざれ、肉のやぶれ、餅餌醬醢などのつくりなせる物、味変じ色あしく臭あしき、又菓など、いまだ熟せざる物の、時ならずして人に害あるもの、皆人に贈るべからず。贈物によりて人の心のうすきあつきあらはる。下部に任せてはうしろめたし。みづからえらぶべし。

書き下し

一人におくり物するは、心を用ふべきことなり。すべてあしき物を贈るは、贈らざるにおとりてはづかし。魚のあざれ、肉のやぶれ、餅餌醬醢などのつくりなせる物、味変じ色あしく臭あしき、又菓など、いまだ熟せざる物の、時ならずして人に害あるもの、皆人に贈るべからず。贈物によりて人の心のうすきあつきあらはる。下部に任せてはうしろめたし。みづからえらぶべし。

現代語訳

人に贈り物をするのは、心を用いるべきことです。すべて悪い物を贈るのは、贈らないよりも劣って恥ずかしいことです。腐った魚、傷んだ肉、餅・団子・塩辛・肉の醤などの加工品で、味が変わり色が悪く臭いの悪いもの、また果物などでまだ熟しておらず、時期外れで人に害のあるもの、これらはみな人に贈ってはいけません。贈り物によって人の心の薄さ厚さが表れます。使用人に任せるのは気がかりです。自ら選びなさい。

解説

贈り物の中身への心配りを説いた条です。傷んだ食べ物や未熟な果物など、相手の体に害のある物は贈らない方がましだと具体的に戒めます。食べ物の良し悪しに細かく目を配るところに、本草学者でもあった益軒の知識がのぞきます。「贈物によりて人の心のうすきあつきあらはる」という一句が要で、品物選びを人任せにせず自分で選べと結びます。お中元やお歳暮を業者任せにしがちな今、贈る相手を思い浮かべて自分で選ぶことの意味を思い出させてくれます。

この章句が説くこと

贈答礼心食物誠

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