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家道訓 / 巻之五・用財中

一儉約を行ひ、おごりつひえをせず、華美をこのまずして、餘財をたくはへ置きて、或は凶年にあひ、もしは長病死亡の變又婚嫁のつひえ、水火盜賊のわざはひ、殊に軍用をかねて備へ、すべて不慮の時の變、又は人の貧苦寒餓をすくふに備ふべし。餘財なければ不慮の變に應ずることかたく、人の困窮をすくひがたし。

新字:一倹約を行ひ、おごりつひえをせず、華美をこのまずして、余財をたくはへ置きて、或は凶年にあひ、もしは長病死亡の変又婚嫁のつひえ、水火盗賊のわざはひ、殊に軍用をかねて備へ、すべて不慮の時の変、又は人の貧苦寒餓をすくふに備ふべし。余財なければ不慮の変に応ずることかたく、人の困窮をすくひがたし。

書き下し

一倹約を行ひ、おごりつひえをせず、華美をこのまずして、余財をたくはへ置きて、或は凶年にあひ、もしは長病死亡の変又婚嫁のつひえ、水火盗賊のわざはひ、殊に軍用をかねて備へ、すべて不慮の時の変、又は人の貧苦寒餓をすくふに備ふべし。余財なければ不慮の変に応ずることかたく、人の困窮をすくひがたし。

現代語訳

倹約を行い、贅沢な出費をせず、華美を好まず、余った財を蓄えておいて、あるいは凶作の年に遭ったり、あるいは長患いや死亡という変事、また婚礼の出費、水害・火事・盗賊の災い、とりわけ軍用のことも兼ねて備え、すべて思いがけない時の変事、また人の貧しさや寒さ飢えを救うことに備えなさい。余財がなければ、思いがけない変事に応じることが難しく、人の困窮を救うこともできません。

解説

倹約の目的を「備え」に置いた条です。凶作、病気や死亡、婚礼、火事や盗難、そして武士にとっての軍用と、江戸時代の家が直面した臨時の出費が具体的に並びます。蓄えは自分の家を守るだけでなく、困っている人を救う力にもなるという点が益軒らしいところです。今でいえば生活防衛資金や保険、災害への備えにあたり、企業なら内部留保の考え方にも通じます。余裕がなければ人助けもできないという指摘は、支援する側の足場づくりの大切さを教えます。

この章句が説くこと

蓄え備え倹約財救い

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