尚書 / 說命中
惟事事乃其有備,有備無患
書き下し
惟れ事を事とするに、乃ち其れ備え有り、備え有れば患い無し。
現代語訳
物事に取り組むにあたっては、あらかじめ備えをしておくべきであり、備えがあれば憂いはない。
解説
何か事が起きてから慌てて対応するのと、あらかじめ想定して備えておくのとでは、結果も心の余裕もまるで違う。日々の仕事でも家庭の暮らしでも、突発的な出来事は必ずやってくるが、そのときに慌てずに動けるかどうかは、事前にどれだけ準備してきたかにかかっている。備えるという地味な行為は目立たないが、いざというときの安心を支える最も確かな土台になる。なお、本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。
この章句が説くこと
備え準備安心
関連する章句
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『塩鉄論』險固篇大夫曰く、虎兕の能く熊羆を執え、群獸を服する所以の者は、爪牙利くして攫むに便なればなり。秦の諸侯を超え、天下を吞み、敵國を幷す所以の者は、險阻固くして勢いの居ること然ればなり。故に龜猖に介有れば、狐貉も禽にする能わず。蝮蛇に螫有れば、人忌みて輕んぜず。故に備え有れば則ち人を制し、備え無ければ則ち人に制せらる。故に仲山甫は袞職の闕を補い、蒙公は長城の固を築く。寇難に備えて、沖を萬里の外に折る所以なり。今、其の外を固くせずして、其の內を安んぜんと欲するは、猶お家人の垣墻を堅くせずして、狗吠え夜に驚き、而も闇昧に妄行するがごときなり。
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『甲陽軍鑑』品第四十一就中国持給ふ大将の自国·他国をあらそひ·せりあひ·合戦又は城せめなどゝいふ勝負をばこれ軍陣と申す、其軍陣においてよは敵·少敵·大敵·强敵·破敵·随敵もろ〳〵の敵うちあわせ武略·智略·計策をよくして定めて能勝利をうる事を能軍法となふ然るに武略のもとは自国諸々の城取をよくかまへ、陣取をよく取しき、備をよく立設くる事、大形は先づ是武略のもとなり、
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葉隠・聞書第一覺りの士というのは、事に逢って仕(し)たるように、前方に、それぞれの仕様(しよう)を吟味し置いて、その時に出合い、仕果(しはた)す者である。不覺の士というのは、その時に至って前方に穿鑿せぬのは、不覺の士と申す。
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孫子・虚実篇故に前に備うれば則ち後寡なく、後に備うれば則ち前寡なし。左に備うれば則ち右寡なく、右に備うれば則ち左寡なし。備えざる所無ければ、則ち寡なからざる所無し。寡なき者は人に備うる者なり、衆き者は人をして己に備えしむる者なり。
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孟子・公孫丑章句上孟子曰く、「仁なれば則ち榮え、不仁なれば則ち辱めらる。今辱めらるるを惡んで不仁に居るは、是れ猶ほ濕を惡んで下きに居るがごときなり。如し之を惡まば、徳を貴びて士を尊ぶに如くは莫し。賢者位に在り、能者職に在り、國家閒暇なりとせん。是の時に及びて其の政刑を明らかにせば、大國と雖も、必ず之を畏れん。詩に云う、『天の未だ陰雨せざるに迨(およぶ)んで、彼の桑土を徹(とる)り、牖(ユウ)戶を綢繆す。今此の下民、敢て予を侮どること或らんや。』孔子曰く、『此の詩を為りし者は、其れ道を知れるか。』能く其の國家を治めば、誰か敢て之を侮らん。今國家閒暇なりとせん。是の時に及んで般樂怠敖せば、是れ自ら禍を求むるなり。禍ᐻは己自り之を求めざる者無し。詩に云う『永く言、命を配し、自ら多ᐻを求む。』太甲に曰く、『天の作せる孼は猶ほ違く可し。自ら作せる孼は活く可からず。』此を之れ謂うなり。」
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『墨子』七患故に食に備粟無ければ、以て凶饑を待つ可からず。庫に備兵無ければ、義有りと雖も、無義を征する能わず。城郭、備え全からざれば、以て自ら守る可からず。心に備慮無ければ、以て卒に應ずる可からず。是の故に慶忌は之を去るの心無くんば、輕々しく出づる能わず。夫れ桀に湯を待つの備無し、故に放たる。紂に武王を待つの備無し、故に殺さる。桀紂は貴きこと天子と為り、富は天下を有つ。然れども皆な百里の君に滅亡せらるるは、何ぞや。富貴有りて備えを為さざればなり。故に備えなる者は、國の重んずる所なり。