家道訓 / 巻之五・用財中
一つひえをはぶきおごりをおさへて、家財の分限に應じて用ふべし。分限の外に越えて用ふべからず。おごりつひえをおさへて私慾をこらふるには、つとめて力を用ひざれば爲しがたし。心よわくしては、欲にひかれて行はれず。又世俗のそしりをおそれては、儉約は行ひがたし。ちからを用ひて行ひ遂ぐべし。欲にひかれそしりを恐るゝは力量なし。欲にかつには剛を以てす。おそれざるは勇者のわざなり。
新字:一つひえをはぶきおごりをおさへて、家財の分限に応じて用ふべし。分限の外に越えて用ふべからず。おごりつひえをおさへて私慾をこらふるには、つとめて力を用ひざれば為しがたし。心よわくしては、欲にひかれて行はれず。又世俗のそしりをおそれては、倹約は行ひがたし。ちからを用ひて行ひ遂ぐべし。欲にひかれそしりを恐るゝは力量なし。欲にかつには剛を以てす。おそれざるは勇者のわざなり。
書き下し
一つひえをはぶきおごりをおさへて、家財の分限に応じて用ふべし。分限の外に越えて用ふべからず。おごりつひえをおさへて私慾をこらふるには、つとめて力を用ひざれば為しがたし。心よわくしては、欲にひかれて行はれず。又世俗のそしりをおそれては、倹約は行ひがたし。ちからを用ひて行ひ遂ぐべし。欲にひかれそしりを恐るるは力量なし。欲にかつには剛を以てす。おそれざるは勇者のわざなり。
現代語訳
出費を省き贅沢を抑えて、家財の分限に応じて用いなさい。分限を越えて用いてはいけません。贅沢や出費を抑えて私欲をこらえるには、努めて力を用いなければできません。心が弱くては、欲に引かれて行えません。また世間の悪口を恐れていては、倹約は行いがたいものです。力を用いてやり遂げなさい。欲に引かれ、悪口を恐れるのは力量がないのです。欲に勝つには剛さをもってします。恐れないのは勇者の業です。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『春秋左氏伝』文公二年 狼瞫、死所を得る瞫曰く、「《周志》に之れ有り、『勇にして則ち上を害するは、明堂に登らず』と。死して義ならざるは、勇に非ざるなり。共に用ゐらるる之を勇と謂ふ。吾勇を以って右を求む。勇無くして黜けらるるは、亦た其の所なり。上我を知らずと謂ふも、黜けられて宜ならば、乃ち我を知るなり。子姑く之を待て」と。彭衙に及びて既に陳し、其の屬を以って秦の師に馳せ、焉に死す。晉の師之に從ひ、大いに秦の師を敗る。君子謂ふ、狼瞫是に於いてか君子なり、と。《詩》に曰く、「君子如し怒らば、亂庶(こひねが)はくは遄(すみ)やかに沮(や)まん」と。又曰く、「王赫として斯れ怒り、爰に其の旅を整ふ」と。怒りて亂を作さず、而して以って師に從ふ、君子と謂ふ可し。秦伯猶ほ孟明を用ふ。孟明增して國政を脩め、重ねて民に施す。趙成子諸大夫に言ひて曰く、「秦の師又至らば、將に必ず之を辟けんとす。懼れて德を增す、當たる可からざるなり。《詩》に曰く、『爾が祖を念ふ毋からんや、聿(ここ)に厥の德を脩む』と。孟明之を念へり。德を念ひて怠らず、其れ敵す可けんや」と。
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『春秋左氏伝』哀公二年 鉄の戦い下卿の罰なり」と。甲戌、將に戰はんとす。郵無恤、簡子に御たり、衛の太子右たり。鐵上に登り、鄭の師の眾きを望見す。大子懼れ、自ら車下に投ず。子良、大子に綏を授けて之に乘らしめて曰く、「婦人なり」と。簡子列を巡りて曰く、「畢萬は匹夫なり。七たび戰ひて皆獲、馬百乘を有ちて、牖下に死せり。群子之を勉めよ。死は寇に在らず」と。繁羽、趙羅に御たり、宋勇右たり。羅勇無く、之を麇(つな)ぐ。吏之を詰る。御對へて曰く、「痁作りて伏せり」と。衛の大子禱りて曰く、「曾孫蒯聵、敢へて昭らかに皇祖文王・烈祖康叔・文祖襄公に告ぐ。鄭勝は亂に從ひ、晉午は難に在りて、亂を治むる能はず、鞅をして之を討たしむ。蒯聵敢へて自ら佚せず、矛を持するに備はる。敢へて告ぐ、筋を絕つこと無く、骨を折ること無く、面を傷つくること無く、以て大事を集(な)さしめよ。三祖の羞と作ること無からん。大命は敢へて請はず。佩玉は敢へて愛まず」と。鄭人、簡子を擊ちて肩に中つ。車中に斃る。其の蜂旗を獲たり。大子之を救ふに戈を以てす。鄭の師北(に)ぐ。溫の大夫趙羅を獲たり。大子復た之を伐つ。
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孫子・九地篇吾が士に余財無きは、貨を悪むに非ざるなり。余命無きは、寿を悪むに非ざるなり。令の発するの日、士卒の坐する者は涕襟を沾し、偃臥する者は涙頤に交わる。之を往く所無きに投ずれば、則ち諸・劌の勇なり。
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論語・述而篇子、顔淵に謂いて曰く、「之を用うれば則ち行い、之を舎つれば則ち蔵る。惟だ我と爾と是れ有るかな。」子路曰く、「子、三軍を行らば、則ち誰と与にせん。」子曰く、「暴虎馮河、死して悔い無き者は、吾与にせざるなり。必ずや事に臨みて懼れ、謀を好みて成す者なり。」
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説苑・立節士君子の勇有りて行に果なる者、以て節を立て誼を行わずして、妄死非名を以てするは、豈に痛ましからずや。士殺身以て仁を成し、害に触れて以て義を立て、節理に倚りて死地を議せざる有り。故に能く身死して名来世に流る、勇断有るに非ずんば、孰か能く之を行わんや。
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言志四録・言志耋録 第二百三十九条 真勇は怯なるが如し真勇は怯なるが如く、真智は愚なるが如く、真才は鈍なるが如く、真巧は拙なるが如し。
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