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家道訓 / 巻之五・用財中

一つひえをはぶきおごりをおさへて、家財の分限に應じて用ふべし。分限の外に越えて用ふべからず。おごりつひえをおさへて私慾をこらふるには、つとめて力を用ひざれば爲しがたし。心よわくしては、欲にひかれて行はれず。又世俗のそしりをおそれては、儉約は行ひがたし。ちからを用ひて行ひ遂ぐべし。欲にひかれそしりを恐るゝは力量なし。欲にかつには剛を以てす。おそれざるは勇者のわざなり。

新字:一つひえをはぶきおごりをおさへて、家財の分限に応じて用ふべし。分限の外に越えて用ふべからず。おごりつひえをおさへて私慾をこらふるには、つとめて力を用ひざれば為しがたし。心よわくしては、欲にひかれて行はれず。又世俗のそしりをおそれては、倹約は行ひがたし。ちからを用ひて行ひ遂ぐべし。欲にひかれそしりを恐るゝは力量なし。欲にかつには剛を以てす。おそれざるは勇者のわざなり。

書き下し

一つひえをはぶきおごりをおさへて、家財の分限に応じて用ふべし。分限の外に越えて用ふべからず。おごりつひえをおさへて私慾をこらふるには、つとめて力を用ひざれば為しがたし。心よわくしては、欲にひかれて行はれず。又世俗のそしりをおそれては、倹約は行ひがたし。ちからを用ひて行ひ遂ぐべし。欲にひかれそしりを恐るるは力量なし。欲にかつには剛を以てす。おそれざるは勇者のわざなり。

現代語訳

出費を省き贅沢を抑えて、家財の分限に応じて用いなさい。分限を越えて用いてはいけません。贅沢や出費を抑えて私欲をこらえるには、努めて力を用いなければできません。心が弱くては、欲に引かれて行えません。また世間の悪口を恐れていては、倹約は行いがたいものです。力を用いてやり遂げなさい。欲に引かれ、悪口を恐れるのは力量がないのです。欲に勝つには剛さをもってします。恐れないのは勇者の業です。

解説

倹約は知っていてもなかなか続かない、その理由を「欲」と「世間のそしり」の二つに見た条です。見栄を張らないと周りから何を言われるかという気持ちは、江戸時代も今も変わりません。益軒は、欲に勝つには剛さ、そしりを恐れないには勇気が要ると、倹約を意志の問題として語ります。つきあいの出費や流行の品への誘惑に流されず、自分の分限に合った暮らしを貫くことは、家計でも組織の予算でも、ぶれない判断力の表れといえるでしょう。

この章句が説くこと

倹約欲勇気剛分限

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