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家道訓 / 巻之四・用財上

一人の書を借らば、まづ我が書をさし置きて、まづ人の書を專一に見て、早く返すべし。人の書をかりて、見ずして久しく留め置くはおこたりなり。大册なる書も、二日に一册は見やすし。中册の書は、五册からば五日に見て、早く返すべし。十册借らば、十日に見て返すべし。久しくとゞめ置くべからず。早く返せば、人も亦よく貸してをしまず。是學者の心を用ふべきことなり。

新字:一人の書を借らば、まづ我が書をさし置きて、まづ人の書を専一に見て、早く返すべし。人の書をかりて、見ずして久しく留め置くはおこたりなり。大册なる書も、二日に一册は見やすし。中册の書は、五册からば五日に見て、早く返すべし。十册借らば、十日に見て返すべし。久しくとゞめ置くべからず。早く返せば、人も亦よく貸してをしまず。是学者の心を用ふべきことなり。

書き下し

一人の書を借らば、まづ我が書をさし置きて、まづ人の書を専一に見て、早く返すべし。人の書をかりて、見ずして久しく留め置くはおこたりなり。大册なる書も、二日に一册は見やすし。中册の書は、五册からば五日に見て、早く返すべし。十册借らば、十日に見て返すべし。久しくとどめ置くべからず。早く返せば、人も亦よく貸してをしまず。是学者の心を用ふべきことなり。

現代語訳

人の書物を借りたら、まず自分の書物をさし置いて、まず人の書物を専一に読んで、早く返すべきです。人の書物を借りて、読まずに長く留めておくのは怠りです。大きな冊子の書物でも、二日に一冊は読みやすいのです。中くらいの冊子の書物は、五冊借りたら五日で読んで早く返すべきです。十冊借りたら十日で読んで返すべきです。長く留めておいてはいけません。早く返せば、人もまたよく貸して惜しみません。これは学ぶ者の心を用いるべきことです。

解説

本を借りたら、自分の本は後回しにして先に読み、早く返せと具体的に説きます。大きな本でも二日に一冊、中くらいなら一日一冊という目安まで示しているのが益軒らしいところです。書物が高価で貴重だった時代、学者たちは互いに本を貸し借りして学問を広げていました。生涯に膨大な書物を読み、多くの著作を残した益軒自身の経験から出た助言でしょう。早く返せば人も喜んで貸してくれるという結びは、学び合う関係を長く保つ知恵として今も生きています。

この章句が説くこと

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