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家道訓 / 巻之四・用財上

一易に、天道は盈てるを斷くといへり。又物みつればかくともいへり。又、古語に、多く藏むればあつく失ふともいへり。財多くあつめたるまでにて、人の貧窮をめぐまざれば、盈ちては必ず虧くるわざはひあり。天道おそるべし。

新字:一易に、天道は盈てるを断くといへり。又物みつればかくともいへり。又、古語に、多く蔵むればあつく失ふともいへり。財多くあつめたるまでにて、人の貧窮をめぐまざれば、盈ちては必ず虧くるわざはひあり。天道おそるべし。

書き下し

一易に、天道は盈てるを断くといへり。又物みつればかくともいへり。又、古語に、多く蔵むればあつく失ふともいへり。財多くあつめたるまでにて、人の貧窮をめぐまざれば、盈ちては必ず虧くるわざはひあり。天道おそるべし。

現代語訳

易に「天の道は満ちたものを欠く」とあります。また「物は満ちれば欠ける」ともあります。また古語に「多く蔵めれば厚く失う」ともあります。財を多く集めただけで、人の貧窮を恵まなければ、満ちては必ず欠ける災いがあります。天の道は恐るべきです。

解説

易経謙卦の彖伝にある「天道は盈を虧きて謙に益す」、月が満ちれば欠けるという「物満つれば虧く」、老子の「多く蔵すれば必ず厚く亡ふ」という三つの言葉を重ねて、財を集めるだけで施さなければ満ちた後に必ず欠ける災いがあると説きます。原文の「断く」は「虧く」の意に読めます。満ちることを恐れ、満ちる手前で分け与えるという考えは、益軒の用財論の根本にあります。好調なときこそ謙虚に、という戒めは、個人の資産運用にも会社経営にもそのまま当てはまります。

この章句が説くこと

易経天道謙虚財老子

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