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家道訓 / 巻之四・用財上

如何となれば、我身彼をすくふほど財あるは、天よりひとへに我が身にさいはひし給ふにあらず、貧苦なる者をすくはしめんとて、吾にたからをあたへ富ましめ給ふ理なれば、天の御心にしたがひて、貧人をすくひほどこすべし。もし是をすくはざれば、天の御心にそむきて、其のわざはひおそるべし。天道にそむきしわざはひ、たちまちに目に見え來らず、其のむくい、おそけれどものがれがたし。此の理必ずたがはず、うたがふべからず。天道おそるべし。

新字:如何となれば、我身彼をすくふほど財あるは、天よりひとへに我が身にさいはひし給ふにあらず、貧苦なる者をすくはしめんとて、吾にたからをあたへ富ましめ給ふ理なれば、天の御心にしたがひて、貧人をすくひほどこすべし。もし是をすくはざれば、天の御心にそむきて、其のわざはひおそるべし。天道にそむきしわざはひ、たちまちに目に見え来らず、其のむくい、おそけれどものがれがたし。此の理必ずたがはず、うたがふべからず。天道おそるべし。

書き下し

如何となれば、我身彼をすくふほど財あるは、天よりひとへに我が身にさいはひし給ふにあらず、貧苦なる者をすくはしめんとて、吾にたからをあたへ富ましめ給ふ理なれば、天の御心にしたがひて、貧人をすくひほどこすべし。もし是をすくはざれば、天の御心にそむきて、其のわざはひおそるべし。天道にそむきしわざはひ、たちまちに目に見え来らず、其のむくい、おそけれどものがれがたし。此の理必ずたがはず、うたがふべからず。天道おそるべし。

現代語訳

なぜなら、自分があの人々を救えるほどの財があるのは、天がひとえに自分の身に幸いされたのではなく、貧しく苦しむ者を救わせようとして、自分に宝を与えて富ませられた理なので、天の御心に従って、貧しい人を救い施すべきです。もしこれを救わなければ、天の御心に背いて、その災いは恐るべきものです。天の道に背いた災いは、たちまち目に見えて来ることはありませんが、その報いは遅くても逃れがたいのです。この理は必ずたがいません。疑ってはいけません。天の道は恐るべきです。

解説

前の条を受けて、弱者を救うべき理由を説明しています。自分に人を救えるほどの財があるのは、天が自分を特別に恵んだからではなく、貧しい者を救わせるために預けたからだというのです。だから救わなければ天の心に背くことになり、その報いはすぐには見えなくても必ず来ると言います。富を天からの預かりものと見るこの考えは、家道訓に繰り返し現れます。恵まれた立場にある人ほど社会に果たす役割が大きいという考え方は、今の社会貢献の意識にもつながります。

この章句が説くこと

天道施し富報い責任

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