家道訓 / 巻之四・用財上
一人の器物を借ることを好むべからず。人を妨ぐること遠慮すべし。入用ありとも、なるべきほどは不自由をこらへて、人の器借るべからず。もし已むことを得ずして器を借らば、そこなふべからず。用ひをはらばはやく返すべし。久しくとゞめ置きて、貸せるぬしに事を缺かせ、乞ひ使をうけておそくかへすべからず。もし借れるもの損ぜば、よくおぎなひて、其の過を謝し返すべし。およそ我が家に、人の財寶器物書籍等を借りて、かへさざる物ありやと、時々みづからかへりみるべし。もし借れる物あらば、すみやかに返すべし。是亦家ををさむる道の內の一事なり。おろそかにすべからず。
新字:一人の器物を借ることを好むべからず。人を妨ぐること遠慮すべし。入用ありとも、なるべきほどは不自由をこらへて、人の器借るべからず。もし已むことを得ずして器を借らば、そこなふべからず。用ひをはらばはやく返すべし。久しくとゞめ置きて、貸せるぬしに事を欠かせ、乞ひ使をうけておそくかへすべからず。もし借れるもの損ぜば、よくおぎなひて、其の過を謝し返すべし。およそ我が家に、人の財宝器物書籍等を借りて、かへさざる物ありやと、時々みづからかへりみるべし。もし借れる物あらば、すみやかに返すべし。是亦家ををさむる道の内の一事なり。おろそかにすべからず。
書き下し
一人の器物を借ることを好むべからず。人を妨ぐること遠慮すべし。入用ありとも、なるべきほどは不自由をこらへて、人の器借るべからず。もし已むことを得ずして器を借らば、そこなふべからず。用ひをはらばはやく返すべし。久しくとどめ置きて、貸せるぬしに事を欠かせ、乞ひ使をうけておそくかへすべからず。もし借れるもの損ぜば、よくおぎなひて、其の過を謝し返すべし。およそ我が家に、人の財宝器物書籍等を借りて、かへさざる物ありやと、時々みづからかへりみるべし。もし借れる物あらば、すみやかに返すべし。是亦家ををさむる道の内の一事なり。おろそかにすべからず。
現代語訳
人の器物を借りることを好んではいけません。人の妨げになることは遠慮すべきです。入り用があっても、できる限りは不自由をこらえて、人の器物を借りてはいけません。もしやむを得ず器物を借りたなら、傷めてはいけません。使い終わったら早く返すべきです。長く留め置いて、貸した持ち主に事欠かせ、催促の使いを受けてから遅く返してはいけません。もし借りた物が傷んだら、よく補って、その過ちをわびて返すべきです。およそ自分の家に、人の財宝・器物・書籍などを借りて返していない物はないかと、時々自分で顧みるべきです。もし借りている物があれば、すみやかに返すべきです。これもまた家を治める道の内の一つです。おろそかにしてはいけません。
解説
この章句が説くこと
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