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家道訓 / 巻之四・用財上

一我が身の養をうすくして、父母の奉養をあつくすべし。次に兄弟親戚朋友の貧窮なるをすくふべし。その外、飢寒艱苦する者をたすくるを以て樂とすべし。親戚のむすめ、嫁すべき時にいたれども、貧窮にして嫁する力なき者あり。吾もし力あらば、財をたすけて嫁せしむべし。凡財あらば、かくの如く有益の事をなすべし。財を吝むべからず。我が力にしたがひてほどこすべし。斯く善を行ひて人をたすけば、家富み財おほく持てるかひあり。善をすること斯くのごとくならば、豈たのしからずや。道理を知らざる人は、多くの財をつひやし無益の事をなして、義理にそむくこと多し。財寶を多くつひやして、道理にそむくはむげに愚なり。よくわきまへて、無益の事に財をつひやさず、益ある事に財を用ふべし。

新字:一我が身の養をうすくして、父母の奉養をあつくすべし。次に兄弟親戚朋友の貧窮なるをすくふべし。その外、飢寒艱苦する者をたすくるを以て楽とすべし。親戚のむすめ、嫁すべき時にいたれども、貧窮にして嫁する力なき者あり。吾もし力あらば、財をたすけて嫁せしむべし。凡財あらば、かくの如く有益の事をなすべし。財を吝むべからず。我が力にしたがひてほどこすべし。斯く善を行ひて人をたすけば、家富み財おほく持てるかひあり。善をすること斯くのごとくならば、豈たのしからずや。道理を知らざる人は、多くの財をつひやし無益の事をなして、義理にそむくこと多し。財宝を多くつひやして、道理にそむくはむげに愚なり。よくわきまへて、無益の事に財をつひやさず、益ある事に財を用ふべし。

書き下し

一我が身の養をうすくして、父母の奉養をあつくすべし。次に兄弟親戚朋友の貧窮なるをすくふべし。その外、飢寒艱苦する者をたすくるを以て楽とすべし。親戚のむすめ、嫁すべき時にいたれども、貧窮にして嫁する力なき者あり。吾もし力あらば、財をたすけて嫁せしむべし。凡財あらば、かくの如く有益の事をなすべし。財を吝むべからず。我が力にしたがひてほどこすべし。斯く善を行ひて人をたすけば、家富み財おほく持てるかひあり。善をすること斯くのごとくならば、豈たのしからずや。道理を知らざる人は、多くの財をつひやし無益の事をなして、義理にそむくこと多し。財宝を多くつひやして、道理にそむくはむげに愚なり。よくわきまへて、無益の事に財をつひやさず、益ある事に財を用ふべし。

現代語訳

自分の身の養いを薄くして、父母への孝養を厚くすべきです。次に兄弟・親戚・朋友の貧窮を救うべきです。そのほか、飢えや寒さや艱難に苦しむ者を助けることを楽しみとすべきです。親戚の娘が嫁ぐべき時に至っても、貧窮で嫁ぐ力のない者がいます。自分にもし力があれば、財を助けて嫁がせるべきです。およそ財があれば、このように有益なことをすべきです。財を惜しんではいけません。自分の力に従って施すべきです。このように善を行って人を助ければ、家が富み財を多く持っているかいがあります。善をすることがこのようであれば、どうして楽しくないことがあるでしょうか。道理を知らない人は、多くの財を費やして無益なことをし、義理に背くことが多いのです。財宝を多く費やして道理に背くのは、ひどく愚かです。よくわきまえて、無益なことに財を費やさず、益のあることに財を用いるべきです。

解説

財の使い道の優先順位を示しています。まず自分への支出を抑えて父母を厚く養い、次に兄弟や親戚、友人の困窮を救い、さらに飢えや寒さに苦しむ人を助けることを楽しみとせよというのです。親戚の娘が貧しさで嫁げないなら費用を助けよという例は、当時の暮らしの実感を伝えています。財を持つかいとは、それで人を助けられることにあるという考えです。身近な人から順に支え、余力があれば広く社会へという支援の順序は、今の家族や地域の助け合いにも通じます。

この章句が説くこと

施し孝親戚財善

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