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家道訓 / 巻之四・用財上

一財を用ふる法を、禮記の王制にいへり。曰く、財用を制するに、入る事をはかりて、出すことをなす。言ふこゝろは、年の暮に、今年得る所の財の分限をかぞへて、其の分限の多少にしたがひ、其の年の豐凶によりて、それに應じて、來年までつかひ用ふる分限を定めて、時々にかへりみて、つかひ用ふることを節にすべし。得る所の財の分量よりすくなく用ふるはよし。得る所より過ぎて多ければ、財不足して困窮となる。いましむべし。是を、入るをはかりて出すことをするといふ。其上、費をはぶきおごりをいましめて、成るべきほど餘財を多くたくはへ、凶年、火災、盜賊、疾病、死亡、軍用に備ふべし。是萬世財を用ふるの良法なり。

新字:一財を用ふる法を、礼記の王制にいへり。曰く、財用を制するに、入る事をはかりて、出すことをなす。言ふこゝろは、年の暮に、今年得る所の財の分限をかぞへて、其の分限の多少にしたがひ、其の年の豊凶によりて、それに応じて、来年までつかひ用ふる分限を定めて、時々にかへりみて、つかひ用ふることを節にすべし。得る所の財の分量よりすくなく用ふるはよし。得る所より過ぎて多ければ、財不足して困窮となる。いましむべし。是を、入るをはかりて出すことをするといふ。其上、費をはぶきおごりをいましめて、成るべきほど余財を多くたくはへ、凶年、火災、盗賊、疾病、死亡、軍用に備ふべし。是万世財を用ふるの良法なり。

書き下し

一財を用ふる法を、礼記の王制にいへり。曰く、財用を制するに、入る事をはかりて、出すことをなす。言ふこころは、年の暮に、今年得る所の財の分限をかぞへて、其の分限の多少にしたがひ、其の年の豊凶によりて、それに応じて、来年までつかひ用ふる分限を定めて、時々にかへりみて、つかひ用ふることを節にすべし。得る所の財の分量よりすくなく用ふるはよし。得る所より過ぎて多ければ、財不足して困窮となる。いましむべし。是を、入るをはかりて出すことをするといふ。其上、費をはぶきおごりをいましめて、成るべきほど余財を多くたくはへ、凶年、火災、盗賊、疾病、死亡、軍用に備ふべし。是万世財を用ふるの良法なり。

現代語訳

財を用いる法を、『礼記』の王制篇に述べています。「財用を制するには、入ることをはかって、出すことをなす」と。その意味は、年の暮れに、今年得た財の分限を数えて、その分限の多少に従い、その年の豊凶によって、それに応じて来年まで使い用いる分限を定め、時々に顧みて、使い用いることを節約すべきだということです。得た財の分量より少なく用いるのはよいのです。得たところより多く用いれば、財が不足して困窮となります。戒めるべきです。これを「入るをはかって出すことをする」というのです。そのうえ、費えを省き、おごりを戒めて、できるだけ余った財を多くたくわえ、凶年・火災・盗賊・疾病・死亡・軍用に備えるべきです。これは万世にわたって財を用いる良法です。

解説

礼記王制篇の「入るを量りて以て出だすを為す」は、古代中国の国家財政の原則として名高い言葉です。益軒はこれを家計に当てはめ、年末にその年の収入を数え、それに応じて翌年の支出の枠を決め、ときどき振り返って節約せよと具体的に説きます。さらに余剰を蓄えて、凶作、火災、盗難、病気、死亡、軍用に備えよと言います。収入に基づいて予算を立て、定期的に見直し、非常用の貯えを持つという方法は、今の家計管理や企業財務の基本とまったく同じです。

この章句が説くこと

予算礼記家計備え倹約

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