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家道訓 / 巻之四・用財上

一財を用ふるに、小をつんで大にいたるゆゑ、小の費をもをしむべし。然れども、もし已む事を得ずして、少しの者はなすとも大なる害なし。一時に大に財を用ひんとおもはば、必ず猶豫してよくはかるべし。已むことを得ばこらへて費すべからず。少しの費をつんで百にいたりても、猶大なる費一事は、それより甚しく財をやぶる。つゝしむべし。

新字:一財を用ふるに、小をつんで大にいたるゆゑ、小の費をもをしむべし。然れども、もし已む事を得ずして、少しの者はなすとも大なる害なし。一時に大に財を用ひんとおもはば、必ず猶予してよくはかるべし。已むことを得ばこらへて費すべからず。少しの費をつんで百にいたりても、猶大なる費一事は、それより甚しく財をやぶる。つゝしむべし。

書き下し

一財を用ふるに、小をつんで大にいたるゆゑ、小の費をもをしむべし。然れども、もし已む事を得ずして、少しの者はなすとも大なる害なし。一時に大に財を用ひんとおもはば、必ず猶予してよくはかるべし。已むことを得ばこらへて費すべからず。少しの費をつんで百にいたりても、猶大なる費一事は、それより甚しく財をやぶる。つつしむべし。

現代語訳

財を用いるのに、小さなものが積もって大きくなるので、小さな費えも惜しむべきです。けれども、もしやむを得ず少しの費えをしても、大きな害はありません。一時に大きく財を用いようと思うなら、必ずためらってよくはかるべきです。できることならこらえて費やしてはいけません。少しの費えを積んで百に至っても、なお大きな費えの一事は、それよりはなはだしく財を破ります。慎むべきです。

解説

小さな出費も積もれば大きくなるので惜しむべきだと言いつつ、益軒がより強く戒めるのは一時の大きな出費です。小さな費えを百重ねても、大きな出費一つのほうが財を損なうというのです。だから大きな出費を思い立ったときは、必ず時間を置いてよく考え、こらえられるならこらえよと勧めます。住宅や車、高価な買い物、事業への大きな投資などで、勢いで決めて後悔する例は少なくありません。一晩置いて考えるという習慣は、今もっとも実用的な家計の知恵の一つです。

この章句が説くこと

倹約出費家計猶予判断

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