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家道訓 / 巻之四・用財上

一家の破れたる所は、はやく修理し、武具をとゝのへ備へ、ふるくして損じたるは改め補ひ、父よりゆづれる器などの缺け損じたるは、はやく修復すべし。凡小破の時修理を加へざれば、大破にいたりてはむづかし。一仕ふるものは、君より賜はる祿あり。農工商は得たる田地あり家財あり。士も庶人も、其の財祿の多少によらず、其の分內にて儉約を行ひ、家人を養ひ家をたもつべし。是君父よりうけたるのみならず、天より賜はる所の定分の財祿なれば、大身小身貧富ともに、其の家の財祿を用ひて事足りぬべし。是天命を安んじて外を願はざるなり。已むことを得ば、外の財を借り用ふべからず。もし家祿の分限に過ぎてつひやせば、必ず財不足して、外に借り用ふるにいたる。

新字:一家の破れたる所は、はやく修理し、武具をとゝのへ備へ、ふるくして損じたるは改め補ひ、父よりゆづれる器などの欠け損じたるは、はやく修復すべし。凡小破の時修理を加へざれば、大破にいたりてはむづかし。一仕ふるものは、君より賜はる禄あり。農工商は得たる田地あり家財あり。士も庶人も、其の財禄の多少によらず、其の分内にて倹約を行ひ、家人を養ひ家をたもつべし。是君父よりうけたるのみならず、天より賜はる所の定分の財禄なれば、大身小身貧富ともに、其の家の財禄を用ひて事足りぬべし。是天命を安んじて外を願はざるなり。已むことを得ば、外の財を借り用ふべからず。もし家禄の分限に過ぎてつひやせば、必ず財不足して、外に借り用ふるにいたる。

書き下し

一家の破れたる所は、はやく修理し、武具をととのへ備へ、ふるくして損じたるは改め補ひ、父よりゆづれる器などの欠け損じたるは、はやく修復すべし。凡小破の時修理を加へざれば、大破にいたりてはむづかし。一仕ふるものは、君より賜はる禄あり。農工商は得たる田地あり家財あり。士も庶人も、其の財禄の多少によらず、其の分内にて倹約を行ひ、家人を養ひ家をたもつべし。是君父よりうけたるのみならず、天より賜はる所の定分の財禄なれば、大身小身貧富ともに、其の家の財禄を用ひて事足りぬべし。是天命を安んじて外を願はざるなり。已むことを得ば、外の財を借り用ふべからず。もし家禄の分限に過ぎてつひやせば、必ず財不足して、外に借り用ふるにいたる。

現代語訳

家の破れた所は早く修理し、武具を整えて備え、古くなって傷んだものは改め補い、父から譲られた器などの欠けたり傷んだりしたものは、早く修復すべきです。およそ小さく破れたときに修理を加えなければ、大きく破れてからでは難しいのです。仕える者には主君から賜る禄があります。農工商には得た田地があり家財があります。士も庶民も、その財禄の多少によらず、その分の内で倹約を行い、家の者を養い家を保つべきです。これは主君や父から受けたものであるだけでなく、天から賜った定まった分の財禄なので、身分の大小や貧富にかかわらず、その家の財禄を用いて事足りるようにすべきです。これが天命に安んじて外を願わないということです。できることなら、外の財を借りて用いてはいけません。もし家禄の分限を超えて費やせば、必ず財が不足して、外から借りて用いるに至ります。

解説

前半は、小さな破損のうちに修理せよという教えで、大きく壊れてからでは手間も費用もかさむという、家屋の維持管理の基本です。後半は、士も庶民も与えられた財禄の範囲で暮らせと説きます。財禄は天から賜った定分であり、その内で足りるようにすることが天命に安んじることだというのです。分限を超えて使えば必ず借金に至るという結びは明快です。収入の範囲で暮らし、借金に頼らないという原則は、今の家計管理でも最も基本的な戒めです。

この章句が説くこと

分限借金倹約修理天命

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