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家道訓 / 巻之三・総論下

一吉事をいはひ、凶事を忌むは人情なり。正月五節句の俗節と、元服嫁娶をいはひ、死亡を忌むことむべなり。然れども愚人は吉凶につきてはなはだかゝはり、いはひ過しいみ過して事に害あり。天命を知らずして、福を求め禍をのがれんとする私心よりおこれり。是禍福の理を知らずして、おろかに迷へるなり。神佛にみだりにへつらひ祈りて、さいはひを求むるも亦同じ。

新字:一吉事をいはひ、凶事を忌むは人情なり。正月五節句の俗節と、元服嫁娶をいはひ、死亡を忌むことむべなり。然れども愚人は吉凶につきてはなはだかゝはり、いはひ過しいみ過して事に害あり。天命を知らずして、福を求め禍をのがれんとする私心よりおこれり。是禍福の理を知らずして、おろかに迷へるなり。神仏にみだりにへつらひ祈りて、さいはひを求むるも亦同じ。

書き下し

一吉事をいはひ、凶事を忌むは人情なり。正月五節句の俗節と、元服嫁娶をいはひ、死亡を忌むことむべなり。然れども愚人は吉凶につきてはなはだかかはり、いはひ過しいみ過して事に害あり。天命を知らずして、福を求め禍をのがれんとする私心よりおこれり。是禍福の理を知らずして、おろかに迷へるなり。神仏にみだりにへつらひ祈りて、さいはひを求むるも亦同じ。

現代語訳

吉事を祝い、凶事を忌むのは人情です。正月や五節句などの世俗の節日と、元服や嫁入りを祝い、死亡を忌むのはもっともです。けれども愚かな人は吉凶についてはなはだこだわり、祝いすぎ、忌みすぎて、事に害があります。天命を知らずに、福を求め災いを逃れようとする私心から起こるのです。これは禍福の理を知らずに、愚かに迷っているのです。神仏にむやみにへつらい祈って、幸いを求めるのもまた同じです。

解説

正月や節句、元服や婚礼を祝い、死を忌むのは人情として自然だと認めたうえで、吉凶にこだわりすぎると事を損なうと戒めます。その根には、天命を知らずに福だけを求め災いを逃れたいという私心があるというのです。五常訓で説いた、道理のないへつらいの祈りへの批判と同じ考えです。縁起を担ぐこと自体は悪くありませんが、日柄や占いにとらわれて大事な判断を誤ったり、行事を張り合って無理をしたりするのは本末転倒だ、という戒めとして今も読めます。

この章句が説くこと

吉凶天命祈り私心節日

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