家道訓 / 巻之三・総論下
一小兒をいましめて、もろもろの蟲魚など、およそ人の害にならざるいき物をころさしむべからず。又生類をくるしましむべからず。犬猫鷄鴨などをなやますべからず。不仁にしてみだりにものの命を絕つは、天道にそむくことを、幼少の時より早く敎へいましむべし。
新字:一小児をいましめて、もろもろの虫魚など、およそ人の害にならざるいき物をころさしむべからず。又生類をくるしましむべからず。犬猫鶏鴨などをなやますべからず。不仁にしてみだりにものの命を絶つは、天道にそむくことを、幼少の時より早く教へいましむべし。
書き下し
一小児をいましめて、もろもろの虫魚など、およそ人の害にならざるいき物をころさしむべからず。又生類をくるしましむべからず。犬猫鶏鴨などをなやますべからず。不仁にしてみだりにものの命を絶つは、天道にそむくことを、幼少の時より早く教へいましむべし。
現代語訳
幼い子を戒めて、もろもろの虫や魚など、およそ人の害にならない生き物を殺させてはいけません。また生き物を苦しめさせてはいけません。犬・猫・鶏・鴨などを悩ませてはいけません。不仁でむやみに物の命を絶つのは天の道に背くことだと、幼少の時から早く教え戒めるべきです。
解説
子どもに、人に害のない虫や魚をむやみに殺させず、犬猫や鶏などの動物を苦しめさせないよう、幼いうちから教えよという条です。不仁にみだりに命を絶つことは天の道に背くという理由が示されています。万物を天地の生んだものとして大切にする益軒の考えが、子どもの教育の具体的な場面に表れています。生き物への接し方が思いやりの心を育てることは、今も動物愛護や命の教育として重んじられています。小さな命を大切にする習慣が、人を大切にする心の土台になります。
この章句が説くこと
仁子育て生き物命教育
関連する章句
-
論語・雍也篇宰我問いて曰く、「仁者は之に告げて『井に仁有り』と曰うと雖も、其れ之に従わんか。」子曰く、「何為れぞ其れ然らんや。君子は逝かしむ可きも、陥る可からず。欺く可きも、罔う可からず。」
-
論語・八佾篇子曰く、人にして仁ならずんば、礼を如(いかん)せん;人にして仁ならずんば、楽を如せん。
-
論語・憲問篇「克・伐・怨・欲、行われずんば、以て仁と為す可きか。」子曰く、「以て難しと為す可し。仁は則ち吾知らざるなり。」
-
論語・里仁篇子曰わく、不仁者は久しく約に処るべからず、長く楽に処るべからず。仁者は仁に安んじ、知者は仁を利とす。
-
論語・里仁篇子曰わく、ただ仁者のみよく人を好み、よく人を悪む。
-
論語・微子篇微子これを去り、箕子これに為に奴となり、比干諫めて死す。孔子曰わく、殷に三仁有り。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る