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家道訓 / 巻之二・総論中

一喪祭の禮は、をはりをつゝしみ遠きをおふ道なれば、心を用ひてあつくすべし。おろそかにすべからず。然れども國法にそむくべからず。時宜にしたがふべし。國法と風俗にそむかざるかぎりは、其の心をつくすべし。先祖は子孫の根本なり。年數へだたり遠しといへども、思ひしたひて忘るべからず。時節の祭つゝしみあつくし、本に報ずるの心おこたるべからず。木の根につちかひ養へば枝葉しげる、先祖にあつくすれば、子孫さかゆる理あり。しかれども、君子の先祖にあつきは、さかえを求むるためにあらず。

新字:一喪祭の礼は、をはりをつゝしみ遠きをおふ道なれば、心を用ひてあつくすべし。おろそかにすべからず。然れども国法にそむくべからず。時宜にしたがふべし。国法と風俗にそむかざるかぎりは、其の心をつくすべし。先祖は子孫の根本なり。年数へだたり遠しといへども、思ひしたひて忘るべからず。時節の祭つゝしみあつくし、本に報ずるの心おこたるべからず。木の根につちかひ養へば枝葉しげる、先祖にあつくすれば、子孫さかゆる理あり。しかれども、君子の先祖にあつきは、さかえを求むるためにあらず。

書き下し

一喪祭の礼は、をはりをつつしみ遠きをおふ道なれば、心を用ひてあつくすべし。おろそかにすべからず。然れども国法にそむくべからず。時宜にしたがふべし。国法と風俗にそむかざるかぎりは、其の心をつくすべし。先祖は子孫の根本なり。年数へだたり遠しといへども、思ひしたひて忘るべからず。時節の祭つつしみあつくし、本に報ずるの心おこたるべからず。木の根につちかひ養へば枝葉しげる、先祖にあつくすれば、子孫さかゆる理あり。しかれども、君子の先祖にあつきは、さかえを求むるためにあらず。

現代語訳

喪と祭の礼は、終わりを慎み遠い祖先を追う道なので、心を用いて厚くすべきです。おろそかにしてはいけません。けれども国の法に背いてはいけません。時宜に従うべきです。国の法と風俗に背かない限りは、その心を尽くすべきです。先祖は子孫の根本です。年数が隔たって遠くても、思い慕って忘れてはいけません。季節の祭りを慎んで厚くし、本に報いる心を怠ってはいけません。木の根に土を培い養えば枝葉は茂るように、先祖に厚くすれば子孫が栄える理があります。けれども、君子が先祖に厚いのは、栄えを求めるためではありません。

解説

論語学而篇の「終りを慎み遠きを追へば、民の徳厚きに帰す」を踏まえ、葬儀と祭祀を心を込めて行うよう説きます。ただし国法と世の風俗に背かない範囲でという但し書きがあり、形式を張り合うことは勧めていません。先祖を木の根に、子孫を枝葉にたとえ、根を養えば枝葉が茂るという理を示したうえで、君子が先祖を大切にするのは繁栄を求めるためではないと結びます。見返りを求めない感謝こそ本物だという点に、益軒の筋の通った考えが表れています。

この章句が説くこと

先祖喪祭孝論語子孫

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