家道訓 / 巻之二・総論中
一もし惡性なるしもべありて、不忠をなさば、うちたゝき責めはたるべからず。事なくして、はやく追ひ出すべし。一子孫のあらそひを慮りて、年いまだ老いざるに、はやく書置をする人あり。又書置をいつはりて作り出す者あり。是亦遠慮すべし。人の父祖となる者は、死後まで子孫のためを思慮すべし。
新字:一もし悪性なるしもべありて、不忠をなさば、うちたゝき責めはたるべからず。事なくして、はやく追ひ出すべし。一子孫のあらそひを慮りて、年いまだ老いざるに、はやく書置をする人あり。又書置をいつはりて作り出す者あり。是亦遠慮すべし。人の父祖となる者は、死後まで子孫のためを思慮すべし。
書き下し
一もし悪性なるしもべありて、不忠をなさば、うちたたき責めはたるべからず。事なくして、はやく追ひ出すべし。一子孫のあらそひを慮りて、年いまだ老いざるに、はやく書置をする人あり。又書置をいつはりて作り出す者あり。是亦遠慮すべし。人の父祖となる者は、死後まで子孫のためを思慮すべし。
現代語訳
もし性悪な召使いがいて不忠をなすなら、打ちたたき責め立ててはいけません。事を荒立てず、早く追い出すべきです。子孫の争いを心配して、まだ老いていないのに早く遺言書を作る人がいます。また遺言書を偽って作り出す者がいます。これもまたよく考えるべきです。人の父祖となる者は、死後まで子孫のためを思慮すべきです。
解説
前半は、不忠な使用人がいても打ちたたいて責め立てるのではなく、騒ぎを起こさずに早く暇を出せという実際的な助言です。暴力で罰すれば恨みを買い、かえって災いを招くからでしょう。後半は遺言書についてで、子孫の争いを恐れて早すぎる遺言を作ることや、偽の遺言が作られることに注意を促し、父祖は死後まで子孫のためを考えよと言います。相続の争いを防ぐための準備は、今の終活や事業承継でも中心的な課題です。
この章句が説くこと
使用人遺言相続子孫家
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