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家道訓 / 巻之二・総論中

一奴婢をつかふに、心はめぐみふかくして、禮法はきびしく立つべし。法いるがせなれば、あなどりて罪をおかしとがにおち入る。いやしき者は、法いるがせなればおこたりて惡におち入り、とがをおかし易し。あはれむべし。およそしもべなどをつかふに心を用ひてあなどらず、又、しもべにあなどられず、法をおかされず、おこたらしめざるがよろし。又不慈にしてかれをくるしめ、所をうしなはしむべからず。陶淵明が、一僕を子にあたふる文に、これも亦人の子なり、よく遇すべしといへり。法とすべし。

新字:一奴婢をつかふに、心はめぐみふかくして、礼法はきびしく立つべし。法いるがせなれば、あなどりて罪をおかしとがにおち入る。いやしき者は、法いるがせなればおこたりて悪におち入り、とがをおかし易し。あはれむべし。およそしもべなどをつかふに心を用ひてあなどらず、又、しもべにあなどられず、法をおかされず、おこたらしめざるがよろし。又不慈にしてかれをくるしめ、所をうしなはしむべからず。陶淵明が、一僕を子にあたふる文に、これも亦人の子なり、よく遇すべしといへり。法とすべし。

書き下し

一奴婢をつかふに、心はめぐみふかくして、礼法はきびしく立つべし。法いるがせなれば、あなどりて罪をおかしとがにおち入る。いやしき者は、法いるがせなればおこたりて悪におち入り、とがをおかし易し。あはれむべし。およそしもべなどをつかふに心を用ひてあなどらず、又、しもべにあなどられず、法をおかされず、おこたらしめざるがよろし。又不慈にしてかれをくるしめ、所をうしなはしむべからず。陶淵明が、一僕を子にあたふる文に、これも亦人の子なり、よく遇すべしといへり。法とすべし。

現代語訳

召使いを使うには、心は恵み深くして、礼法は厳しく立てるべきです。法がなおざりであれば、侮って罪を犯し、咎に陥ります。卑しい者は、法がなおざりであれば怠けて悪に陥り、咎を犯しやすいのです。あわれむべきことです。およそ召使いなどを使うには、心を用いて侮らず、また召使いに侮られず、法を犯させず、怠けさせないのがよいのです。また慈しみなく彼らを苦しめ、居場所を失わせてはいけません。陶淵明が一人の下僕を息子に与えたときの文に「これもまた人の子である。よく遇すべきだ」と言いました。手本とすべきです。

解説

使用人に対しては心は恵み深く、礼法は厳しくせよと説きます。決まりが緩いと、立場の弱い者ほど怠けて罪を犯しやすくなるので、厳しい礼法はむしろ彼らを守るためだというのが益軒の見方です。結びに引かれた、陶淵明が息子のもとに下僕を送ったときの「此れも亦人の子なり、善く之を遇すべし」という言葉は、『南史』の陶潜伝などに伝わります。身分の低い者も人の子として尊重せよという心は、今の雇用や外部スタッフとの関係でも忘れてはならない基本です。

この章句が説くこと

使用人礼法陶淵明思いやり組織

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