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家道訓 / 巻之三・総論下

是人をつかふ道に、心を用ひざるなり。奴婢も亦、主人の前に出でて、一事をつとめ終らば、又何事ぞあらばつとめんと思ひ、用なくとも、まづそこについゐて、主人の命をうかゞひ、しばし待ちて後用なくんば、立ちてしりぞくべし。

書き下し

是人をつかふ道に、心を用ひざるなり。奴婢も亦、主人の前に出でて、一事をつとめ終らば、又何事ぞあらばつとめんと思ひ、用なくとも、まづそこについゐて、主人の命をうかがひ、しばし待ちて後用なくんば、立ちてしりぞくべし。

現代語訳

これは人を使う道に心を用いていないのです。召使いもまた、主人の前に出て一つの事を務め終えたら、また何事かあれば務めようと思い、用がなくても、まずそこに控えて主人の命をうかがい、しばらく待ってから用がなければ、立って退くべきです。

解説

前の条を受けて、何度も呼び出すのは人を使う道に心を用いていない証拠だと言い、今度は使われる側の心得を述べます。用事を一つ済ませたらすぐ下がるのではなく、ほかに用はないかとしばらく控えて主人の意向をうかがい、なければ退けというのです。主人の側には段取りを、使用人の側には気配りを求めていて、双方の歩み寄りで無駄が減るという発想です。上司に報告した後で「ほかに何かありますか」と一言添えるような、今の仕事の作法にもそのまま通じます。

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