導師導古典を学びたいすべての人に

家道訓 / 巻之二・総論中

一婦人女子の、しばしば外に出でて禮節をつとめ、遊觀をこのむはいまいまし。婦人は内に居て、家を治むるを職とす。外に出づることしげきはよろしからず。親戚の間も、只使を以て音信を通ずべし。一婦女は、うまれつき陰柔にして智なく、多くは姦邪なり。正道にしたがひがたし。奴僕はならはし卑しくして、義理にうつりがたし。ともに愚にして道をさとしがたし。故に道理を以て、其過を一々にたゞさんとせば、うらみそむき、不順にして家道和睦しがたかるべし。只つねに家法を正しくし、禮を以て相對せば、おのづからひが事すくなかるべし。

新字:一婦人女子の、しばしば外に出でて礼節をつとめ、遊観をこのむはいまいまし。婦人は内に居て、家を治むるを職とす。外に出づることしげきはよろしからず。親戚の間も、只使を以て音信を通ずべし。一婦女は、うまれつき陰柔にして智なく、多くは姦邪なり。正道にしたがひがたし。奴僕はならはし卑しくして、義理にうつりがたし。ともに愚にして道をさとしがたし。故に道理を以て、其過を一々にたゞさんとせば、うらみそむき、不順にして家道和睦しがたかるべし。只つねに家法を正しくし、礼を以て相対せば、おのづからひが事すくなかるべし。

書き下し

一婦人女子の、しばしば外に出でて礼節をつとめ、遊観をこのむはいまいまし。婦人は内に居て、家を治むるを職とす。外に出づることしげきはよろしからず。親戚の間も、只使を以て音信を通ずべし。一婦女は、うまれつき陰柔にして智なく、多くは姦邪なり。正道にしたがひがたし。奴僕はならはし卑しくして、義理にうつりがたし。ともに愚にして道をさとしがたし。故に道理を以て、其過を一々にたださんとせば、うらみそむき、不順にして家道和睦しがたかるべし。只つねに家法を正しくし、礼を以て相対せば、おのづからひが事すくなかるべし。

現代語訳

女性がたびたび外に出て礼節を務め、遊び見物を好むのは、忌まわしいことです。女性は内にいて家を治めることを職とします。外に出ることが多いのはよくありません。親戚の間も、ただ使いによって便りを通じるべきです。女性は生まれつき陰柔で智がなく、多くは邪です。正しい道に従いにくいのです。召使いは習いが卑しくて、義理に移りにくいのです。ともに愚かで道を諭しにくいのです。ですから道理によって、その過ちを一つ一つ正そうとすれば、恨み背き、従わなくて家の道は和睦しにくいでしょう。ただ常に家の法を正しくし、礼によって相対すれば、おのずからひがごとは少ないでしょう。

解説

女性は外出を控えて家を治めよ、女性は生まれつき智がなく邪だという部分は、江戸時代の儒教的な女性観をそのまま示すもので、今日の目からは受け入れられない偏見です。益軒の女子教育論はのちに『女大学』の源流ともされ、批判の対象にもなりました。一方、結びの、過ちを一つ一つ理詰めで正そうとすれば反発を招くので、家の決まりを正しくし礼をもって接せよという助言は、相手を問わず人を導く方法として一理あります。時代の制約と普遍的な知恵を分けて読む必要があります。

この章句が説くこと

家法礼女性観家族偏見

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る