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家道訓 / 巻之二・総論中

一わかき子弟のともがら、父母の家にありて、いまだ君につかへざる者は、父母につかへていとまなきをよしとす。又家事をよくつとめて怠らず、父兄の勞にかはるべし。かくつとめ行ひて、少しもひまあらば、書を讀み學問し、或は文藝武藝をならひつとむべし。如此つとむれば、いとま無くして妄念おこらず、ひが事を行ふべきひまなし。子弟わかき者のひが事あるは、ひま多くしてすべきわざなきゆゑ、無賴の惡少年にまじはり、妄念おこり妄行をなす。たとへば人を蹈む馬も、馳せゆく中には蹈まず。つい立ちて居る時は、足にいとまある故に人を蹈むがごとし。

新字:一わかき子弟のともがら、父母の家にありて、いまだ君につかへざる者は、父母につかへていとまなきをよしとす。又家事をよくつとめて怠らず、父兄の労にかはるべし。かくつとめ行ひて、少しもひまあらば、書を読み学問し、或は文芸武芸をならひつとむべし。如此つとむれば、いとま無くして妄念おこらず、ひが事を行ふべきひまなし。子弟わかき者のひが事あるは、ひま多くしてすべきわざなきゆゑ、無頼の悪少年にまじはり、妄念おこり妄行をなす。たとへば人を蹈む馬も、馳せゆく中には蹈まず。つい立ちて居る時は、足にいとまある故に人を蹈むがごとし。

書き下し

一わかき子弟のともがら、父母の家にありて、いまだ君につかへざる者は、父母につかへていとまなきをよしとす。又家事をよくつとめて怠らず、父兄の労にかはるべし。かくつとめ行ひて、少しもひまあらば、書を読み学問し、或は文芸武芸をならひつとむべし。如此つとむれば、いとま無くして妄念おこらず、ひが事を行ふべきひまなし。子弟わかき者のひが事あるは、ひま多くしてすべきわざなきゆゑ、無頼の悪少年にまじはり、妄念おこり妄行をなす。たとへば人を蹈む馬も、馳せゆく中には蹈まず。つい立ちて居る時は、足にいとまある故に人を蹈むがごとし。

現代語訳

若い子弟たちで、父母の家にいてまだ主君に仕えていない者は、父母に仕えて暇がないのがよいのです。また家事をよく努めて怠らず、父兄の労に代わるべきです。このように努め行って、少しでも暇があれば、書を読み学問し、あるいは文芸や武芸を習い努めるべきです。このように努めれば、暇がなくて妄念が起こらず、ひがごとを行う暇がありません。若い子弟にひがごとがあるのは、暇が多くてすべき仕事がないので、無頼の悪少年と交わり、妄念が起こってみだらな行いをするのです。たとえば人を踏む馬も、駆けているときには踏みません。じっと立っているときは、足に暇があるので人を踏むようなものです。

解説

まだ仕官していない若者は、父母に仕え、家事を手伝い、余った時間は読書や文武の稽古に充てて、暇をつくらないのがよいと益軒は説きます。若者の過ちは暇が多く、すべきことがないところから生まれるというのです。人を踏む癖のある馬も走っている間は踏まない、という比喩が生き生きとしています。和俗童子訓でも、子どもに暇を持て余させないことを繰り返し勧めていました。目標や役割を持たせることが若い人の心を安定させるというのは、今の教育にも通じる知恵です。

この章句が説くこと

若者教育学問暇勤勉

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